いい感じ
「そういえば小学校のとき、
冷蔵庫のプリン食べちゃって怒られたの、
覚えてる?」
「ああー。あったあった。
なんとかごっこじゃなかった?」
「そうそう、えーっと、遭難ごっこ?」
「それそれ」
「食糧がないって設定で」
「うんうん。
それでミムが『プリンあるよ』って冷蔵庫開けたんだよな」
「え?
ヒロくんが開けたんだよ?
『冷蔵庫に何かあるよ』って」
「いや、ミムでしょ?
いくら俺でも人んちの冷蔵庫は開けねーよ」
「ちがうよぉ。ヒロくんだよ。
ジュースとか、よく取って飲んでたじゃん」
「えええー? 俺じゃねーよー」
(おっ、
ちょっといい感じになってきた?
ま、開けたのはヒロくんだけど)
そこは譲れないらしい。
「しゃべったらのど渇いちゃった。
飲み物取ってくるけど、ヒロくん何がいい?」
「あ、炭酸ある?」
「あると思うよ。コーラでいい?」
「うん。サンキュ」
「いえいえ」
廊下にミムの足音が遠ざかり、
気がつくとヒロハルは膝を崩していた。
(…………なんか、ひさしぶりに話した気がする。
やっぱり、ミムはミムだよな。
それでいいんだよ。
今日は来てよかった)
なぜ来たのか、その理由もすっかり忘れてヒロハルは伸びをした。
その拍子に、ふとそれが目に入った。
――――ベッドの下から顔を半分のぞかせている、
くしゃくしゃに丸めた、布らしきもの――――。
(あれって…………
ミムが隠したやつじゃね?)
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