ミム・3

 ミムはミムで、

 幼馴染の視線がクギづけなことには、

 まったく気づいていなかった。


 それどころではなかった。

 もっと重大で、緊急性の高い事案が発生したのだ。


(し・まっ・た・あ・あ!)





 パンツが…………!

 ず り 落 ち て い る !!





 念のため、

 冒頭では、ちゃんと定位置にあった。

 ヒロハルが部屋まで来る間に、ミムがちょっとヒートアップしすぎたのだ。


 転ぶ前、パンツは膝上に位置していた。ミムが転んだ原因はそれだ。

 そして、転んだ勢いで膝までずり下がった。

 ワンピースの丈は膝下。


 ゆえに、ヒロハルには目撃されていないはず。

 これまでのところは。





 ――――問題はここからだ。


 いま、パンツは膝のあたりで止まっている。


 このまま立ち上がっても、この高さをキープできるのなら、ギリセーフ。

 しかし、それはあくまで理想論。

 現実的にはさらにずり落ちるから、ヒロハルに見られることは避けられない。

 そして、この姿勢でバレずにパンツを引っぱり上げる方法は、―――――――決して、ないのだ。


 ミムの腋下を冷汗が伝った。





(しまったあぁ)ったあぁ)ったあぁ…………)

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