ヒロハル・3

 22℃の部屋で、ふたりの体温はなぜか急上昇中。

 ヒロハルが前かがみになっていたせいか、ミムが聞いてきた。


「おなかいたいの? だいじょうぶ?」


「いや、別に、大丈夫」


 嘘です。痛いくらいです。

 お腹じゃないですけど。


 ミムはふつうに心配そうだった。

 耳年増なくせに、こういうところは抜けている。


「ヒロくん、なんで立ってるの?」


 ハイ、立ってます。さっきからずっと立ちっぱなしです。

 なんでといわれましても……原因はあなたにあるのですが。


 とはいえミムのいうとおり、立っているのも不自然だ。

 ヒロハルは壁ぎわに腰を下ろした。


「…………え? なんで体育座り?(笑)」





 ヒロハルの脳裏には、窓から覗いたときの情景がよみがえっていた。


(ミム、あんなことするんだ…………)


 表情も指先も見えなかったが、見えないぶん余計に想像がかき立てられた。


(い、いや、そりゃまあ、女子でも……する、よな?)


 そういう話は聞いたことがあるし、しちゃいけないってこともなかろうて。

 ヒロハルだって他人のことをいえる立場ではない。


 しかし、


(ミムが……………………)


 そう思うと、幼馴染の顔をまともに見れなかった。





「ほんとに、ヘンだよ? 熱でもあるんじゃないの?」


 ミムは立ち上がり、ヒロハルのほうへ足を踏み出しかけた。

 そのとき、


「あっ…………」


 何かにつまずいて、前のめりに――――。


 とっさに身を乗り出すヒロハル。

 しかし手は届かず、


 とすん


 結局ミムは手と膝を床に着いた。


「ミム、だいじょ………うぶっ」


 ヒロハルの視線の先にあったのは、

 サラサラの黒髪、長いまつげと濡れた瞳、柔らかそうなくちびる――――――ではなかった。





 ミムが着ていたのは、ゆったりしたワンピースの部屋着。

 衿もゆったりと垂れ下がっている。


 鎖骨のほくろが見え、

 さらにその奥に、


 いい感じに丸いシルエットが。





(え?!

 ミムってこんなに?!!)


――――ゴ ク リ――――





 参考までに、Dカップ。


 それがいま、目の前で揺れている――――。

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