ヒロハル・2
ヒロハルは、幼馴染の不用心と無防備を注意するため、
思わず玄関のチャイムを鳴らしたのだが、
(誰も出ないな…………。ま、いっか)
「失礼しまーす」
返事がなかったので上がり込んだ。
小学生のころはそれがふつうだった。
三年生のとき、勝手に入って、ミムと一緒に冷蔵庫を開けて、プリンのパックを全部食べてしまってめっちゃ怒られた前科もある。
そういうわけで、つい今回もそうしてしまった。
しかし、幼馴染とはいえ女の子の部屋、ノックをするだけの分別はあった。
それぐらいの年にはなっている。
ふたりとも、もう高一だ。
ドアの前で少し待って、
「いいよー」
ミムの声を聞いた瞬間、
(しまったぁ!)
ヒロハルは重大な事実に気づいた。
『お前さ、パンツに手ぇつっこんでもぞもぞしてただろ。
窓から丸見えだったぞ』
……いうのか。幼馴染とはいえ女の子に。
いえるわけがない。
まして、自分自身もそれをこっそり覗きながら、
パンツに手ぇつっこんでもぞもぞしていたのだから。
かといって、すでにノックもしたし返事も聞いた。
いまさら後戻りはできない。
「……じ、じゃあ入るぞー」
「どうしたの? 急に」
ミムはベッドの上に腰かけて、クッションを膝に乗せ、
さっきまでしていたことが嘘のように、
あどけない表情で小首をかしげていた。
ドアを開けた瞬間、
(しまったぁ!)
ヒロハルは、もうひとつの重大な事実に気づいた。
ミムの目線の高さは、ちょうどヒロハルの股間の位置。
ヒロハルはあわててTシャツのすそを引っぱり、
前かがみで部屋に入った。
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