ミム・1

 豆見まめみミムがパンツの中でもぞもぞしていると、

 玄関のチャイムが鳴った。


(誰かきた。

 まあ親もいないし、ほっといたら帰るでしょ。

 悪いけどいま忙しいので)


 その楽観をノックの音がぶち砕いた。


「ヒロハルだけど。

 ミム、入ってもいいか?」





(え? え?? え???

 なんで!?!?)





 頭の中が真っ白なまま、

 ミムは反射的に返事してしまった。


「ちょ、ちょっと待って(裏返り気味)」


 あわててスカートのすそを下ろし、鏡に顔を映す。

 髪の毛(ショートボブ)はだいじょうぶだったが、眼鏡がズレていた。直す。

 シーツのしわ、OK。

 創作ノートはちゃんと引き出しの中。ヨシ!





 参考までに、ミムの書く字はペン習字のようにきれいだ。

 得意科目は国語。苦手は体育と理科全般。

 理科が苦手なのは、記号の意味がいまいち覚えきれないから。

 mとかvとか、CとかHとか、どれがどれなのかごっちゃになる。

 なんで重力がgなの?! juuryokuのjでよくない?

 というわけ。以上余談でした。





 指さし確認終了、


(これでだいじょうぶ)


 あくまでも自然な感じで、


「いいよー」


 いったそばから、


(しまったぁ!


 なんで『いいよ』とかいってんの私?!

『具合悪いから明日にして』でよくない?

 ダメじゃん私!)


 ミム、後悔先に立たず。


「……じ、じゃあ入るぞー」


 そしてヒロハルがドアを開けた。

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