46話 どうして、そんな顔してるんだよ。
5/14
一ヶ月という時間は長いようで早かった。亜希菜は特別苦しそうにしている訳ではなかった。
残された時間を思い出作りに当てよう、亜希菜はそう言った。亜希菜の言うとおりに今しかできない事を約一ヶ月やった。
しかし、病気というのは酷なもので亜希菜は一ヶ月も経たないうちに他界した。
余命宣告をされてから21日だった。たった3週間しか亜希菜といられなかった。
彼女の死に顔はとても幸せそうな顔だった。
「なんで…どうして、そんな顔をしてるんだよ…なぁ、亜希菜。俺を置いていくなよ…」
しかし、返事はなかった。当たり前だ。もうこの世にいないんだから。死んでしまったのだから。
「亜希菜…っ」
亜希菜の葬式が、行われた。俺は今度は大切な彼女の葬式に参加した。
葬式が終わるまで俺は静かに涙を流していた。
もう一生分の涙を流した気がする。
そうか…
俺はやっと気付いた。彼女達に愛されている時に、彼女達に身を任せればよかったんじゃないのか。
─後悔先に立たず
今の俺にピッタリの言葉だ。
今になって気づいたが、彼女達が死んだのは全部【4】がつく日だった。
美春が9/24
咲来楽が10/4
そして、亜希菜が5/14
だったら俺も【4】がつく日に死ねばいい。
「余命宣告だ!」
俺は一人高らかに叫んだ。
「一ヶ月後。
一ヶ月後の誕生日。6/14に人生の幕を閉じるとしよう。
俺は固くそう決意した。
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