第六章 残酷な運命。
44話 5年後。
咲来楽を誘拐した男を
刑務所は生まれて初めて行くことになったがさほど嫌な場所ではなかった。
咲来楽の葬式は行われたそうだが、俺は人殺し。行けるはずなどなかった。
面会に来るのは亜希菜か母親ぐらいだと思っていたが、驚いた事に学校の同級生や先生など、たくさんの人が面会に来た。
何故、人殺しなんかに会いに来るのか分からなかった。ふと気になった俺は担任が面会に来た時に訊いてみた。すると…
「これを見て。」
そう言われ、俺はスマホの画面を見せられる。
『廃病院で
そう書かれていた。
「これは…」
その記事は炎上していた。コメント欄は荒れていて決まって必ず、
『春咲勇気は悪くない。悪いのは年下に欲情したこのクソ男。』
『義妹のためにやったなら間違ってると思うけど、自分が同じ立場なら同じことをやってたと思う。』
などと俺に関しては炎上していないが、男はかなり炎上していた。
「分かった?みんな春咲君の味方なのよ。確かにあなたは過ちを冒してしまった。でも、
俺は先生の言葉に涙を流す。今の俺にとってその言葉は優しく俺を包み込んでくれるような感覚になったからだ。
それから5年。俺はきちんと服役し、出所した。
歩いていると人がこっちに向かって走って来ているのが見えた。
その人は俺のよく知る人物だった。俺は苦笑し、走り出す。
そしてその人を抱きしめる。
大切な彼女、亜希菜を。
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