39話 久しぶりの学校。
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「亜希菜、咲来楽、先に行ってるぞ。」
「うん、気をつけてね?」
「うん、お兄ちゃん、気をつけてね?」
亜希菜と咲来楽にそう言われる。…美春の死があったばかりだからだろう。俺もそこは気をつけて行くつもりだ。
「あぁ。分かってる…」
ガチャッ…
玄関の扉を開け、学校に向かって歩を進める。
「………………」
美春の家を訪れ、雪子さんに、慰めてもらってから、俺は前の自分を取り戻しつつあった。
美春だって、こんな俺を見たくないだろうに…
美春のためと言っていたのなら、そこに気づくべきだった。
「…大分休んじゃったな…いや、一週間ぐらいか?」
そんなことを考えていると、学校が見えてくる。久しぶりの学校だ。何度も見ているのに、なんだか懐かしい気持ちになる。
「─おはよう。」
「……!おはようございます。」
校門に立っていた教師に挨拶をされ、俺も返す。
そのまま下駄箱へ向かい、自分の上靴を履き、教室へ向かう。
「………………」
イヤホン(曲を聴いている)をしながら廊下を歩く。何人かの生徒とすれ違う。
その何人の中には驚いたり、素通りしてく奴もいた。
そして、教室に入る。
「…おはよ〜」
「っ!勇気!」
俺が入るなり、裕斗が即座に反応し、駆け寄る。
「お前…大丈夫かよ?…まぁ、大丈夫だから来たんだな。………で?姫乃さんはどうだった?」
「そうだよ。大丈夫だから来た………お前、今なんて言った?」
俺は裕斗の言った内容におかしな点があることに気付き、問い掛ける。
「え?だから、姫乃さんの
あらぁ?なんで知ってんのぉ!?
「なんで知ってんだよ!」
俺がそうツッコむと、
「え?姫乃さんに勇気を
「その言葉…っ!お前かぁ!お前がぁッ!」
そう言い、俺は裕斗に掴みかかる。
「まさかっ!ア、ァァァ私はっ…」
まさにイ○クの死亡シーンの再現が終わったところで俺は掴んだまま問い掛ける。
「で、お前が亜希菜を俺に襲わせたんだな?」
「あぁ。だってよ、そうしなきゃ、お前は自殺しようとしてただろ?」
「うぐっ…」
まさに正論だったため、何も言い返せなかった。
「な?だから、俺はちょっと姫乃さんに、助言した。─っ!おい、もう先生来る時間だぜ!」
「えっ─」
俺は慌てて時計を見る。
HR、5分前だった。
俺達は慌てて席についた。
………いつの間にか、亜希菜と咲来楽は来ていた。
もしかしたら俺と裕斗の馬鹿騒ぎを見ていたかもしれない。
そう考えると恥ずかしくなり、俺は机にうつ伏せになった。
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