35話 裕斗の助言。
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今日は美春ちゃんのお葬式…
勇気君には声を掛けたけれど、反応は無かった。
「……私達だけで行こう、咲来楽ちゃん。」
私と咲来楽ちゃんは喪服を着て、家を出て、会場に向かった。
葬式場に着くと、まず分かったのが、同級生がいっぱいだという事だ。
その中に最も知ってる人物の顔を見つける。
相手も私達に気付き、こちらに駆け寄ってくる。
「っ!……勇気は…いないんだな…」
「声は掛けたんだけどね…」
裕斗君は優しく笑った。そして、普段聴かない声色で言った。
「…姫乃さん…いや、
「っ…!」
名前呼びされ、私は少し、怖気付いてしまう。けれどもその後に続いた言葉は私が驚くような内容だった。
「前に約束したよな。勇気の事を束縛したりするのはやめろって。こんなこと、葬式の日に言う言葉じゃないが…」
裕斗君は、間をおいて言った。
「
「っ…!?それって…」
ダメ…そんなこと言われたら…
「要するにな…勇気の事を好きにしろって言ってんだ。」
私…勇気君への感情が…
「…勇気を愛せ。この悲しみを癒やしてやってくれ。アイツは表には出さないが、死にたいって思ってるはずだ。」
抑えられなくなるっ!
「…亜希菜?だ、大丈夫?」
はっ、と我に返る。私は今、暴走しかかっていた。…いや、違う。もう抑える必要はない。暴走なんてしていない。これは私の勇気君への愛が足りないから今、一人で引きこもってる。
あははッ
もう、裕斗君の言葉で正直な自分の気持ちに気付いた。
私は裕斗君が去っていくのを見届けた後、咲来楽ちゃんに向かって言った。葬式の場で言うことじゃないけど、私は言った。
「ねぇ、咲来楽ちゃん。勇気君の
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