32話 ダルさの原因。

「───ん…うぅ…頭いてぇ…」


目を開くとそこは自分の部屋だった。それと同時に頭痛が、俺を襲う。


あれ…俺はいつ寝たんだ…?……いや、俺は風呂に入っていたはずだ。そこに亜希菜達が入れ替わりで入って来て…………


そうだ!咲来楽が、洗ってくれている時に急に意識がなくなって…


「はっ!」


俺はふと、違和感に気付き、自分の体を見る。


…俺はしっかりとパジャマを着こなしていた。恐らく、亜希菜達が着替えさせてくれたのだろう。


なら、お礼を言わなくちゃいけない。俺は立ち上がる。


「おっと…!?」 


だが、よろける。


頭痛とダルさが原因なのかもしれない。……そういえば、暑くない…すっごい涼しい…


俺はふと部屋の隅のエアコンを見る。


やはり、クーラーがオンになっていた。これも亜希菜達が付けてくれたのだろう。


「…だったら、なおさら行くしかないだろ…」


俺は壁などを支えにしてどうにか、階段を降りきった。


リビングまで行くと3人は何やら真剣な表情で話し合っていた。


………誰が俺が倒れた件についての罪を償うかで。


いやいやいや!ただ、のぼせただけだろ!?そんなことする必要はない!………まぁ、のぼせる原因を作ったのは亜希菜達だが…


「私が勇気君の背中を『みんなで流そう!』なんて言うから…」


いや、お前だったのかよ!


「いや、亜希菜の後に背中を流した私の方が悪いわ…」


どっちもどっちだからな!?


「いえ、亜希菜と美春は悪くないよ…私が洗っている途中に倒れたんだから、私が原因だよ…」


うん、咲来楽、今回はお前が一番悪くないからな?…罪は同じだけどな…


「─そんなの気にすんな。」


「「「えっ!?」」」


俺が突然、声をかけたからだろう、亜希菜達が驚く。


「もともと、頭は痛かったし、体自体ダルかったからな。多分、それでのぼせるのも早かったんだろ。だからお前らがそう、責任負うことはない。」


俺のその言葉に咲来楽が反応した。


「“もともとダルかった”?お兄ちゃん!体温計で熱測って!!」


「えっ、なんで…」


「いいから!」


俺は強引に体温計を脇の下に挟められ、しばらく静止する。


ピピッ、ピピピッ


やがて体温計が鳴り、体温は…


37.8℃

 

「あっ…これ風邪だわ…」


頭痛や体のダルさの原因は風邪だった。


そこから数日間彼女達による、看護体制が敷かれたのは言うまでもない。

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