24話 新たな彼女。

「待ちなさい。」


そう言って、咲来楽にナイフを突き付ける。そのナイフは咲来楽の首筋に当てられると動きを止めた。


ポタり、と咲来楽の額に冷や汗が垂れ落ちる。


「安心して。殺す気なんてないから。ちょっとこっちまで来てもらうつもりだけど…」


美春はそう言うと、咲来楽の首にナイフを当てながら亜希菜を連れて、すぐそこの親の寝室へと入って行った。  








それから何分経っただろうか。しばらくして美春達が出て来た。


美春はもうナイフを持っていなかったが、俺は出たきた三人を見て、後ずさりした。


…何故?それは─


「あら?どうしたの?」


「いや、なにもないケド…?」


出て来た三人は怖いくらいとても笑顔だったのだ。


ヤンデレ達が笑顔で出て来たらとても怖いに決まってるだろう。


と、そこで咲来楽が口を開いた。…笑顔で。


「お兄ちゃん。私を新しい彼女にして下さい。」


「………………は?」


しばしの沈黙の後俺は聞き返してしまった。あまりの衝撃に驚きが止まらなかったからだ。そこで亜希菜が代わりにと言わんばかりに話す。


「私達話し合ったんです。」


あ、なんか嫌な予感が…


「また勇気を取り合うことになるなら─」


今度は美春が喋り…


「三人でお兄ちゃんと付き合えばいいって」


最後はもちろん咲来楽が答える。と、同時に三人が笑顔で俺のところへ歩いてくる。


「あれ…なんだろう…既視感が…」


俺は後ずさり、壁へ背中をつけてしまう。…うん、さっきのフラグだったな…


「勇気君「勇気「お兄ちゃんこれから」これからも」よろしくね♡」


「あはは…はい…」


三人がいつの間にか仲良くなり、そして三股することになった俺…


三人を幸せに出来るのかな…というか!なんで彼女が二人、三人と増えていくんだよ!しかも全員ヤンデレ!


はぁ、はぁ…しばらく、俺の平穏が訪れることはなさそうだ…

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