21話 危険な妹。 


「はい、じゃあ、荷物はこれだけだよね?さ、早く出てってね。」


咲来楽はそう言い、二人を家から追い出した。


「………………(すまん…亜希菜…美春…)」


俺は心の中で謝りながら、考えた。


そもそも、俺が亜希菜と同棲した時にダメ元で母親に言えばよかった。そうしたら二人を追い出さなくても良かった。『後悔先に立たず』と言うが、まさに今の事を言うのだろう。


「お兄ちゃん。」


俺が玄関で突っ立っていると戦犯の妹、咲来楽が自分を呼んだ。


「…なんだ?」


「なんだ、じゃないよ。10分間もそこでなにやってるの?まぁ、いいや。ちょっとここに座って。」


ポンポンっと、咲来楽がソファを叩く。俺は言われた通りにそこに座る。…というか10分間も立っていたのか…?


「これでいいか?」


「うんっ♪じゃあ、そのままでいてね。」


咲来楽はそう言うと、そのまま俺の上に跨った。そして、腕を背中に回され抱きつかれた。


「えへへ♪お兄ちゃん、あったかぃ…」


「………………(この感じ…亜希菜となんか似てるな…)」


俺はそう思うと、咲来楽の背中に腕を回し抱きつき返した。


「お兄ちゃん、だいしゅきぃ………もういっその事、…」


「っ!?何を─ってうぁっ!?」


『何を言ってるんだ』と言おうとしたら、咲来楽にそのまま押し倒されてしまう。

…咲来楽は鼻息を荒くして俺のズボンのチャックを開けている。


「お兄ちゃん…心も体も、一つになろう…?」


「まっ、やめろ!俺達は兄妹だろ!?こんなこと─」


、だけどね。」


「………っ!」


俺の言葉を遮り、咲来楽は言った。確かにそうだ。義理の兄妹ならコンナコトしたってセーフになる…血の繋がった兄妹で一線を超えてもヤバいことにはなるが、責任を取らされるということはない。だが、義理の兄妹なら話が変わってくる。血が繋がってない以上、一線を超えればソレは既成事実になり、責任を取らなきゃいけない。そこを理解した上で咲来楽は今、俺の上に跨っているのか…!


咲来楽は俺のズボンを下ろした。パンツに手を伸ばしたその時、


「はいは~い、邪魔するぜ。」


その場に似合わない明るい声で登場したのは裕斗だった。


「はぁ…せっかくいいところだったのに…なんですか?」


咲来楽が不機嫌そうな声で聞く。


「あっれぇ〜?ごめんねぇ?お楽しみをする前に入ってきちゃってぇ。」


裕斗は煽るように言った。よく見ると裕斗の後ろには、亜希菜と美春…!?な、なんでいるんだ?というかまずいぞ…裕斗がいても咲来楽には…


「なんだ。そういうことね。じゃあ、電話をかけさせていただくよ─」


咲来楽はそう言ってスマホを取り出した。

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