15話 心情の変化〜美春〜


「だから、俺から提案がある。二人が勇気のことが好きなのは今までの行動で分かってる。だから一つ提案だ。…勇気に他の女と喋ってもいい権利を与えてくれ。そして束縛するのは家にいるときだけにしてやってくれ。同棲してるんだから独占できるだろ?」


「「………分かった」分かりました。」


「じゃあな。…勇気を大切にしろよ。」


…私は裕斗の言葉に少しだけ納得していた。私達は勇気に出した“お願い”に矛盾した行動を取ってしまった。


“他の女と喋るな”


これは言い換えれば、


“他の男と喋るな”


と言うこともできる。それは相手側から喋りかけられても同じ事。それなのに─


私は今、屋上の扉を開いて出ていった裕斗と喋ってしまった。


それどころか論破された。ムカつく事にすべて正論。たまに煽ったりする所がイライラした。

ぶん殴ってやりたいくらいだった。でもそれは出来なかった。最初に約束させられたから。


『─質問の途中でなにか講義したり、しないでほしい。オッケー?』


私がそうなる事も想像して裕斗は最初にああ言ったんだろう。

確かにあの約束がなければ私は裕斗を物理的にぶん殴っていたかもしれない。いや、ぶん殴っていた。 


そこを考えると、裕斗は策略家だと、そこだけ裕斗の事を見直した。


その後、教室に向かい、亜希菜と一緒に走って勇気の席に飛び込んだ。


「勇気!」


「勇気君!」


「な、何?」


「さっき、言われて気づいたの…他の女と喋ってもいいわ。」


「はい。私も言われて気付きました。さすがに学校でソレはキツイですよね…ですので─」


私と亜希菜は同時に言った。


「「家で独占します!」するわ!」


教室が何故か急に静かになった。


「……………………………………何を言ってるんだ?」


「さっき、祐斗君に言われたんです。『同棲してるんだから独占できるだろ?』って。」


私がそう言うと、勇気は祐斗の方を見た。祐斗は顔をそらした。きっとやましいことでもあるのだろう。


「だから私達は家で勇気を独占する事にしたの!」


私がそう言うと、勇気はしばらく沈黙した後答えた。


「………ああ。分かった。いいよ、それで…」


勇気は何故か祐斗を睨みながら言った。


私はどうやって勇気を亜希菜と独占しようか考えていた。


(前は、縛っても取られちゃったから…ふふっ。ベッドに縛り付けて襲うのもありかも…♪)


私はこれから行おうとしている事を想像し、興奮した。

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