12話 祐斗の策略。

 

「お、来たね。」

 

屋上の扉が開き、その中から姫乃さんと美春さんが現れる。


「来たわよ。さ、早くやりなさい」


来て最初に口を開いたのが美春だった。


「ああ。さっそくやるよ。」


俺はそう答えて二人に言った。


「その前に。今から質問していくからそれに答えてほしいんだけど、質問の途中でなにか講義したり、しないでほしい。オッケー?」


「ええ。もちろんよ。」


「もちろんです。」


その答えを聞くとニッ、と笑い、そして心理テストという名のが始まった。


「じゃあ最初に。あ、コレは二人共答える必要はない。どっちかでいいから。じゃあ─勇気に他の女と喋るなと言ったことがあるか?」


俺がそう言うと、二人は少し固まったあと答える。


「ええ、あるわ。」


「はい、あります。」


「そっか…フッ、じゃあ二つ目。それはどんな時?相手から話しかけられても話しちゃいけない?」


俺が質問すると、亜希菜が答えた。


「それはもちろんです。私達と付き合ってるから無視しなきゃいけません。」


「そうか。じゃあ三つ目。勇気を出来れば外に出したくない?」


俺がそう言うと二人はものすごい勢いで食らいつく。


「「もちろんよ!」です!」


俺はその答えに苦笑する。そしてここから追い詰めていく。


「さて、心理テストの結果だ。…お前らは勇気を。」


「「………………は?」」


「聞こえなかったか?お前らは勇気を愛していない。なんでか分かるか?」


俺は姫乃さんに聞いた。


「…分かりません。」


「そうだよな。分かってたらこの


「「…………?」」


二人は首を傾げる。


「今、俺と話してるだろ?勇気には他の異性と喋るなとか言っといて俺と話してるもんな?」


俺が煽るように言うと、やはりと言うべきか…美春さんが反発する。


「は?アンタが心理テストをやるかって言ってきたんでしょ!?」


「あぁ。そうだよ。だが、それだと矛盾が発生するんだよなぁ。さっき、他の異性と話しかけられても無視するって言ってたのに、俺のことは無視しなかった。彼氏である勇気にはそれを強要し、自分達はそれを守らない。彼氏だけを束縛するなんて…それは愛じゃない。」


「「…………………」」


俺がそう言うと二人はしばらく黙っていた。


「だから、俺から提案がある。二人が勇気のことが好きなのは今までの行動で分かってる。だから一つ提案だ。…勇気に他の女と喋ってもいい権利を与えてくれ。そして束縛するのは家にいるときだけにしてやってくれ。同棲してるんだから独占できるだろ?」


「「………分かった」分かりました。」


「じゃあな。…勇気を大切にしろよ。」


俺はそう言うと、屋上を後にした。


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