9話 手を貸してくれる親友。


「はぁ…」


俺は登校して自分の席に座って、すぐため息をついた。

そこへ誰かがやってくる。


「朝からため息なんてついてどうしたよ?」


「………あぁ、モブの祐斗か…」


「誰がモブだこら………で?どうしたんだよ。」


俺は祐斗になら話してもいいと思い、事のあらすじを話した。


「なるほどなぁ…というか、二股してるってガチだったんだな」


「あぁ。それでどうにかしたいんだが…」


俺がそう言うと、祐斗は急に真面目な顔になって聞いてきた。


「聞きたいことがある。二人はお前に、『他の女と喋るな』とか、言ったことがあるか…?」


「いや、無い─あっ…ある…」


そういえば、GW中に二人に、


『勇気君、GW明けたら学校や他の場所でもお母さんはしょうがないとして…私と美春ちゃん以外の女と喋っちゃ、めっ、だよ?』


『そうよ、勇気。私達と付き合ってるんだから他の女と喋るなんて』


と言われた事を思い出す。


俺があったと言うと、祐斗がニヤリ、と不適な笑みを浮かべた。


「なぁ、もし、ヤンデレを直したいなら俺に賭けてみるか?」


「賭ける?」


「あぁ。運が良ければ二人のヤンデレが直る、とまでは行かなくても軽くすることは可能だ。」


「じゃあ─」


『じゃあ頼む』そう言おうとした時、祐斗が『だが、』と言った。


「失敗すれば、悪化する可能性もある。…まぁ、ある意味命がけだな。…んで?どうする?」


リスクを犯してまでやるか…それともやめるか…


俺の中で答えは決まっていた。


「それでも、俺はお前に賭けてみるよ。」


俺がそう言うと祐斗は、やれやれと言って立ち上がり、そしてニヤリ、と笑って言った。


「任されたぜ。親友の為に俺も人肌脱ぐぜ。」



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