7話 プール旅行〜俺の貞操が危険!〜後編


俺達は今、ウォータースライダーの列に並んだいた。ウォータースライダーは人気があるのか、待ってる人はとても多かった。

そして、順番が来た。しかし、乗ろうとして止められる。理由は、3人一緒に乗れないからだった。

だが、それをうちのヤンデレ達が許すはずがなく…


「なんでですか?一緒に乗るだけなのに?」


「なんで?一緒に乗るだけなのに?」


「え〜と…その…で、ではどうぞ…」


亜希菜と美春が説得…もとい脅して、結果、乗れることになった。


乗る前に俺は、


「…本当にすいません。」


そう言って俺は、頭を下げた。

そのまま乗った。なぜか、俺は、真ん中で二人に挟まれて乗る形になったのだが…


「勇気君、よかったですね、3人で乗れて。」


「そうだな…そういえば、二人共水着可愛いな。」


俺がそう言うと、二人は顔を赤くした。

女の子は褒めると喜ぶ生き物だから仕方ないか。でも、二人はお世辞じゃなくとても可愛かった。


「あ、そうだ、勇気。」


「ん?なんだ?」


俺が聞き返すと美春は亜希菜と目をあわせてどこから取り出したのか…


「ん?ちょっと、美春さん!?それをしまって…って亜希菜!?俺を拘束するんじゃない!」


“スタンガン”を俺に突きつけようとしていた。そして後ろから亜希菜が俺に抱きついて、拘束していた。


「じゃ─」


「待っ…」


バチ、チッ


* * *


「─はっ!ここは………っ!腕が縛られてる!?縄、か…?くそ、見えねぇ…」


目が覚めると見知らぬ部屋にいた。いや、見知らなくはない。今日泊まる予定の部屋だ。

そして現在俺は、後ろに腕を組まされ、そして何故か縛られていた。


「くっ…待てよ…そういえば、俺は、美春にスタンガンを突きつけられて………もう分かった。これは亜希菜と美春の仕業か…」


俺はその事実に気づき、ため息をつきながらも、苦笑する。

…まったく…


「舐められたもんだな。この程度の拘束で俺を動けないようにしただけかよ。」


俺は、あざ笑うように言って、立ち上がる。

少し、しゃがんで、手が膝の真後ろに来た所で、体育座りをする。そして、そのまま、足を出来た腕の輪に通す。


「さて、と後はこの紐だけだな。これくらいの紐ならすぐ、解けるな。」


俺はそう言って器用(自分で言うことじゃないけれど)に縛られた手を使って紐を解いた。


基本、腕を縛るとき、後ろに組ませるのは解かせないためだ。見えなければ解くのが難しくなる。では、見えるようにすればいい。そして、俺はさっきの方法を使った。そうすれば解くことは簡単になる。


「よし、じゃあ、取り敢えず外に…」


出ようとしたときだった。扉を開けた瞬間、その向こう側に亜希菜と美春がいた。


「「え!?勇気!?」君!?」


「え〜と…おはよう?」


何故か疑問形で答えてしまう。…じゃなくて。


「どうやって解いたの!?」


「まぁ、俺にとっちゃ、朝飯前だ。」


フフン、とドヤ顔を決めてると、二人に部屋に押し戻される。…やっぱりね…

そしてそのままダブルベットに…って待て待て待て!


「ストップ!ストップ!俺をどこに連れてくの!?」


俺が焦って聞くと二人は笑顔で、


「「ベッド♡」」


と答えた。

いやまずい…コレはあれか?一線を超えちゃうやつだよな!?

それだけは避けなくちゃならない。

…コレだけは使いたくなかったが…


「ごめん、二人共─」


俺は二人の拘束を無理矢理振りほどき、二人の後ろに回り込み、首に鋭い手刀を放つ。


「「いっ…」」


バタンッ


二人はそのまま倒れる。


「あ、危なかった…………………よし、俺も寝るか。」


俺は二人をベッドに寝かせて、もう一つの部屋のベッドで俺は寝た。


…俺は決意する。もう、絶対に二人と旅行は来ないと。





* * *


「そういえば、そんな事もあったなぁ…もう絶対に行かないとあの時は思ったけど、今思えば…もう一回行きたいなぁ…」


俺は一人肌寒い風に当たりながらそう思った。

あの時の俺は本当にダメだった。彼女達に愛される資格もなかった。

いや、あの時ばかりじゃない。今だって…愛される資格はない。


もっとも、もう愛されることさえない出来なくなったが…


人は何か大切な物を失って初めて気付く。


それは本当だった。


「そういえば…あの後は…修羅場がめっちゃ起こったな…」


俺はその思い出に苦笑する。


そして、思い返す─


 

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