3話 テスト勉強にて。
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「え〜、本日はもうすぐ入学して最初の期末テストがあるの各自自習してください。先生は会議があるので授業中はいませんが…くれぐれもスマホなどをいじらないように。」
そう言うと先生は出ていってしまった。その直後、秒でスマホをイジる連中が現れる。その中、学級委員長が声を上げた。
(おお、さすが、注意するのか…!)
と、思っていたら、
「みんなー!先生にバレないようにスマホ、イジろうぜ!」
そんなことを学級委員長が宣言した。そこで俺は思った。
このクラスはもう終わってるな…、と。
みんなは自習することなくスマホをいじりだした。
(さて…俺は勉強するか…)
俺は参考書を取り出し、問題を解き始め─
「あの春咲君っ。ちょっといい…?」
ようとしたとき、隣の席の女子、
「どうした?藍彩。」
「えっと…私に勉強教えてほしくて…」
藍彩はもじもじしながら言った。
「なんだ、そんなことか。いいぜ、どこを教えてほしいんだ?」
「えっと、数学Ⅰのこの問題なんだけど…」
「ああ、これは、ここにXを代入するんだ。そしたら、この公式を使って解いていけば…」
「あ!すごい、本当に解けた!…なるほど、こうやって解けばいいんだ。あ、次の期末テストにでそうなのある?」
「ああ、俺の予想では今やったやつとここと、ここが出そうな感じだぜ」
「あ、そうなんだ、ありがとう。…ついでに、古文も教えてもらえるかな…?」
「ああ、いいぞ」
俺は藍彩に分からないところを教えた。俺流の解き方で、だが…。
(でも、以外だな。まさか藍彩が勉強出来ないとは…)
そんなことを思っている俺だが、俺は気付かなかった。こちらをじっと見ている人物に。
* * *
「よし、これで終わりだ。もう大丈夫か?」
「うん、ありがとう。いや〜さすが学年一位は教え方もうまいね」
「はは、そりゃどうも。伊達に学年一位やってるわけじゃないからな。」
藍彩のお世辞を笑い軽く受け流す。その直後俺の全身に鳥肌が立った。なぜ?それは─
「…ねぇ、勇気君。今まで
俺の後ろから亜希菜の低い声が聞こえた。その瞬間さっきまで騒がしかった教室が静寂に包まれた。クラスメイト達は俺達の事を息を呑んで見守っていた。
「あ、あの…」
最初に静寂を破ったのは、藍彩だった。
「違うの亜希菜ちゃん。春咲君は、私に勉強を─」
「私は勇気君に聞いてるの。那菜に聞いてない」
藍彩の話を遮って亜希菜は殺気を含んだ声でそう言い放った。
まずいな…このままでは亜希菜は藍彩の事を殺しかねない。仕方ないここは─俺が死ぬ覚悟で腹くくるしかないか…
「亜希菜、違うんだ。俺は勉強を教えてただけなんだ。」
「へぇ…それにしてはずいぶんと楽しそうだったけど?」
「ああ、
「春咲君!?」
俺の発言に慌てふためく藍彩と…
「へぇ…楽しかったんだ…」
先程よりもより殺気を立てる亜希菜。
「ああ、やっぱり楽しいぜ。─
「「え?」」
俺の発言に藍彩と亜希菜は声をハモらせた。そこで亜希菜にすこ〜し追い打ちをかける発言をする。
「なんだよ。その反応は。まさか亜希菜…俺が藍彩と勉強してて嫉妬したのか?」
「っ!………」
俺の言葉にビクリ、と反応する。どうやら図星だったようだ。
「どうなんだよ?」
「う…それは…」
亜希菜本人は気付いているのだろうか?最初はマウントを取っていた自分が今、逆にマウントを取られているということに。
「ま、俺にとっては嬉しいことだけどな。」
「え?」
亜希菜は、驚いた、でもなんで?という表情をしていた。
「他の女子に嫉妬したんだろ?そんなの嬉しいじゃないか。」
「え、え〜、そうかなぁ?」
俺は、心にもないことを言った。…嫉妬してくれるのは嬉しい。だが、限度というものがある。
「あぁ、そうだよ。」
キーンコーンカーンコーン。
と、そこで授業のチャイムがなった。
亜希菜はにやにやしながら上機嫌で自分の席に戻っていった。
(ふぅ…。…亜希菜って…ちょろすぎないか!?ていうか、付き合って3日目でこれはヤバいな…)
俺は去っていく亜希菜を見てそんな事を思った。
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