2話 亜希菜の爆弾発言。

4/23


俺の朝は遅い。なぜ?朝に弱いからだ。目を覚まし、顔を洗い、パンをかじる。それが朝の一日。…だが、今日は違った。目が覚めると…


「あっ♡勇気君、おはよう♪」 


「………………なんで俺の家にいるの…?」


亜希菜が俺の家にいたのだ。俺は亜希菜に合鍵を渡していない…そもそも、家の場所を教えていない…どうして?なんでわかったんだ?てかどうやって入って来た!?


「朝ごはんできてるよ〜、さ、食べよう?」


「あぁ、分かっ─いや、待て待て待て。なんで家知ってんの?てか鍵は?どうやって入った!?」


俺は心の中で叫んだことを言葉に出して言う。


「え?そんなの普通に後をつけて、鍵はだよ?」


…俺は呆れるどころか逆に感心してしまう。…どこが?それは─


「その悪びれもなく自白して平然としている所、感心するよ…」


「いやーん、照れちゃう///」


(いや、うん。褒めてはないんだけどなぁ…)


「じゃあ朝ごはんにしよう?」


「あぁ、うん…」


そして俺は亜希菜の作ってくれた朝ごはんを食べた。

料理はオムライスだった。オムライスにはケチャップで、『勇気君♡LOVE』と書かれていた。 


* * *


オムライスを美味しく頂いた後、俺は制服に着替える。ちなみに亜希菜は、既に着替えていた。

着替えた後、戸締まりをして家を出る。


「そういえば、言い忘れてけど、オムライス美味かった。ありがとな。」


「うん///喜んでもらえて良かった♡」


家の場所をなぜ知っていたのか、気になったので俺は、聞いてみた。


「そういえば、なんで俺の家が分かったの?」


「それは、昨日別れたあとにこっそりついてったからです。」


「え、それストーカーって言うんじゃ…」


俺がそう言うと亜希菜は、それを否定した。


「違います。これは愛情表現です。好きな人の事は何でも知りたくてついてっただけじゃないですか!」


「…知ってるか?世間一般的にはソレをストーカーって言うんだよ?」


そんな会話をしていたらいつの間にか学校についていた。『じゃあ、また。』とか言えればどんなによかったのだろうか…

残念ながらそれは叶わなかった。なぜ?それは…


「あ、姫ちゃんおはよう。…?後ろにいるのって春咲?」


同じクラスだからだ。そして亜希菜はとんでもない爆弾発言をした。


「実は…私、勇気君と付き合うことになりました!」


「「「「「「「えぇぇぇぇぇえ!?」」」」」」」


(いや、なにバラしちゃってるの!?)


クラスメイトと一緒に叫んでいた。(俺は、心の中で、だが…)

そして俺の元へやってきた奴がいた。祐斗である。


「おい、勇気。話が違うじゃねぇか。どうなってんだ?」


「…実はだな…」


俺は昨日あった出来事をすべて話した。すると祐斗は恨めしそうな顔をして言う。


「俺は、罰ゲームだっていうからアドバイスしたのに…なんで付き合っちゃうんだよ!」


「い、いや…ヤンデレ!ヤンデレだから!」


「いいじゃねぇか。…究極の一途だぞ?クソ…おまえ…前に言ってたじゃんか。─おーい!みんな聞いてくれ!」


そう言うと、騒がしかったクラスが静かになる。そして祐斗は、スマホを取り出した。俺が首を傾げていると祐斗はニヤリ、と笑いスマホを操作した。その直後、聞き覚えがある声とともに痛いセリフが大音量で流れた。


『─彼女?ふっ…そんなもの永遠童貞の僕には必要ないね。』


「やめろぉぉぉお!!!」


そう、そのセリフは俺がかつて祐斗に言ったセリフだった。クラスメイトはそれを聞いて硬直している。

その静寂を最初に破った者がいた。…亜希菜である。


「勇気君…」


亜希菜は俺を憐れむような瞳で見た。

その憐れむような瞳で見ないでくれ!


「安心してください!もう永遠童貞じゃありません!私がいます!」


「「「「「「「はぁぁぁぁあ!?」」」」」」」


亜希菜の二度目の爆弾発言によりクラスは混乱していた。



朝の騒動から時間は立ち、昼休み。

俺が購買に行こうとすると亜希菜がそれを止めた。亜希菜の手には弁当箱が2個あった。一つは恐らく俺のだろう。 


「勇気君のも作ってきたから一緒にお弁当食べよう?」


「ああ、分かった。」


断る理由もないので俺は、その提案を受け入れた。

だが、亜希菜はまた爆弾発言をするのだった。


それは食べている途中のときにおきた。


「そういえば勇気君。」


「?なんだ?」


唐突に亜希菜は話しだした。


「いつ、私とエ○チするんですか?」


「ブッ…!?」


その爆弾発言に俺は、思わず吹いてしまう。そしてクラスメイト全員こっちを見ていた。


「な、何、言ってんだ!?」


「だから、いつ私とエ○チするんですか?」


亜希菜の目は本気だった。だからこそ、俺は、逃げた。

椅子から立ち上がり、逃げようとした。しかし、亜希菜に、腕をガジリと掴まれる。


「ねぇ、どうして今逃げたんですか?私とエ○チ出来ない理由でもあるんですか?」


「い、いや、それは…」 


「『それは』なんですか?…もしかして他の女ですか?…」


声のトーンが一段と下がり、俺は思わず息を呑む。


「…違う。まだ出来ない、かな…ほら家とかの関係もあるし。もし、ヤッたりして遅くなったら親にも心配されるだろうし。」


「勇気君…!」


(よ、良し!なんとか大丈夫みたいだな…)


と、思っていた…。


「安心してください。明日から勇気君と同棲するので。どうせ私、一人暮らしですし。」


「な…」


俺は絶句した。同棲って…もう、逃げられない。俺は、亜希菜と、ヤルしかないのか?

てか、付き合って2日目でなんでこんな事になるんだよ!普通じゃないだろ!…って、そりゃそうか…亜希菜は…普通じゃなかった…。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る