第一章 彼女との出会い。
1話 ヤンデレと付き合うとこうなる。
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俺の名前は
最初はみんなとうまくやれるか不安だったが、そんな心配は無用ですぐに打ち解けることができ、クラスに馴染むことも出来た。
毎日が楽し
…アイツが現れるまでは。
「?なんだこれ?…これは…手紙?」
それは唐突だった。移動教室から戻ると、俺の机の中に手紙が入っていた。俺は中を開いた。手紙には可愛らしい文字で、
『今日の放課後、学校裏で待ってます。…絶対に来てください。』
と、書かれていた。差出人は書いて無い…。
(ラブレター?その割にはあっさりとした内容だな…さては…罰ゲームで告白ってやつか…?)
はぁ…と俺がため息をついた時、俺の肩に手が置かれた。
「よっ、どうした?ため息なんてついてさ。」
そう話してきたのは、俺の友達の
俺は今あった出来事を話した。すると、
「なんだ、そんなことか。罰ゲームだったらそん時だ。」
心配して損した、とでも言うように言ってきた。
「…裕斗がそう言うならそうするわ。…あぁ、罰ゲームとは言えヤダな…」
俺はそんなことを呟き、そのまま授業を受けた。
授業中もその手紙の事が気になり、授業の内容は全く入って来なかった。
そして放課後。
俺は指定された場所へとやってきた。が、誰もいない…。
これは、完全にハメられたな、と思って踵を返そうとしたときだった。
「─お待たせしました!ごめんなさい、遅れちゃって…」
誰かが走ってきて帰ろうとする俺に声をかけた。俺は振り向き、硬直する。
短いショートの茶髪を揺らしながら走ってきたのは、学年一美少女選手権(誰かが勝手にやった奴)で優勝し、入学初日にファンクラブが創立し、芸能事務所からスカウトが来たとか噂のある、
「ひ、姫乃さん?どうしてここにって…もしかして手紙くれたの姫乃さん?」
「あ、う、うん…」
「えっと…用件はなに?用事があったから俺をここに呼んだんだよね?」
俺がそう聞くと、姫乃さんはソワソワしだした。やがて決心がついたのか、その口を開いた。
「勇気君。来てくれてありがとう。…その…私、勇気君の事が好きです。付き合ってください!」
「………………」
(はぁ…よりによって高嶺の花に罰ゲームで告白されるのか…ま、それならそれでいいかな…断るか…いや、これは立場的に受け入れたほうがいいのか?あ〜…わかんねぇ…もういいや、承諾しよ…)
俺はもうどうにでもなれと自暴自棄になって答えた。
「あ、ありがとう。その気持ち嬉しいよ。こんな俺なんかでよければ…」
俺がそう答えると姫乃さんは顔をぱぁっと輝かせる。
「本当ですかっ!?ありがとうございます!」
そう言って、抱きついてきた。
…これは罰ゲームなのにやりすぎでは…?
そう思った俺は気づけば口に出していた。
「なぁ、これは
「えっ…罰ゲーム…?」
「いや、とぼけなくていいよ。まぁ、いいや。それで?いつまで付き合うの?どうせ一ヶ月制とかだろ?」
俺に抱きついたままの姫乃さんにそう言った。
「…何、言ってるの…?」
すると、少し、姫乃さんの声のトーンが下がった気がする。
「違うのか?あ、今日告白してそのまま終わりって感じ?なんだ、ならいいや。」
「…っ!…あっ、そうですね、期限制ですよ。」
「…はぁ、マジかよ…」
「はい、マジですよ。」
俺は少し考えてから聞いた。
「具体的に何日だ?」
「
「……………は?」
ま、待て…今、姫乃さんはなんて言った?『永遠』?どういう事だ?バレたからってからかってるのか…?
「そもそもですが、罰ゲームってなんのことですか?」
「えっ?」
今度はこっちが聞き返す番だった。というかまだとぼけるのか…?てか、早く俺の体から離れてくれないかな…
「罰ゲームなんて私は知りませんよ?私は本心で勇気君の事が好きなんです。」
「…ソレ、本当なのか…?俺には姫乃さんが俺を陥れようとしてる様にしか思えないんだけど?」
「どうして…どうしてそんなこと言うんですか!私は本気なのに!」
俺が疑うと姫乃さんは若干ヒステリック気味に叫んだ。
…本気なのか…?でもだったらなんで俺なんかを…
「…信じていないようですね。」
「…あぁ…。」
俺がそう言うとようやく姫乃さんは俺から離れた。
─と、思った瞬間、
「─じゃあ、証拠を見せます。」
そう言って、俺にキスをした。
「っ!?ひ、姫乃さん!?」
「…どうですか?これでわかってもらえましたか?」
これが演技だったらすごいが…それはないな…これは…認めるしかないのかもしれない…。
「分かった…信じる。…だけど、それなら付き合うことは出来ないかな。」
「えっ………どうして…?」
だが、俺は断った。
「無理なんだよ。罰ゲームなら少しの間だけ付き合ってもいいと思っていたけど…俺にはもったいなさすぎる。…相当勇気を出したと思う。だけど、姫乃さんの為にならない。…それじゃ。」
俺は言うだけ言ってその場を立ち去ろうとした。しかし、姫乃さんがそれを許してくれなかった。
腕をガシリと掴まれそのまま壁に追い込まれる。
…その時の姫乃さんの“目”を俺は一生忘れることがないだろう。
彼女の瞳は色がなく、狂気的な目をしていた。
俺はそれにビビって、そのままペタリ、と尻を地面に着けた。
それを『待ってました』と言わんばかりに、俺の上に馬乗りになる。そして…
「さっき、『あ、ありがとう。その気持ち嬉しいよ。こんな俺なんかでよければ…』って言いましたよね…?」
「あぁ…」
「だったらいいですよね?」
「姫乃さん、なんで─」
「…亜希菜。」
「え?」
「亜希菜って呼んでください。」
「え〜と…亜希菜さん。」
「亜希菜!」
「わ、わかったから。…亜希菜。」
俺がちゃんと名前を呼び捨てで呼ぶとその顔をさらに輝かせた。
「…で、私と付き合ってくれるんだよね?」
俺は迷った結果、答えた。
「…あぁ。これからよろしく…。」
俺がそう答えると亜希菜は喜んで、俺にキスをしてきた。
可愛い美少女が馬乗りになってキス─
普通ならとってもいいシチュエーションなのだろう。だが、俺は気付いた。気付いてしまった。
彼女が亜希菜が─
ヤンデレだということに。
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