第22話 ヒールポーション極(きわめ)
薬屋にいって市場調査の真似事をした結果、俺の作ったちょっと高級なヒールポーションが伝説級のヒールポーションかもしれない疑惑が浮かんできてしまった。
それはそれとして、薬屋で仕入れたLv3のスタミナポーションをさっそく飲んでみた。
おっ! 確かに体が軽くなったような気がする。金貨を出すほどの価値があるのかと言われればいささか疑問ではあるが、そこそこの物だ。
スタミナポーションでリフレッシュした俺は、人目のない小路に引っ込んで、自室に転移した。
今飲んだスタミナポーションを気持ちの上で真似たポーションを想像して、錬金工房に発注してみたところ、簡単にスタミナポーションができてしまった。
試しに飲んでみたら、先ほど飲んだスタミナポーションと区別がつかなかった。全く同じものだ。
「やってみたら意外と簡単だったな。これで俺も本格的に錬成できる。
その前に、ヒールポーションを極めてやるか。
いままで、
「よーし、気合を入れて限界突破だ!」
先ほど作ったスタミナポーションを飲んで、再リフレッシュした俺は、気合を入れて超高品質ヒールポーション作成に取り掛かった。
とはいっても、作り方そのものは錬金工房が知っているし作業も錬金工房が受け持つだけで、俺の役目は、超高品質ヒールポーションを作るぞ! という気合を入れることと、レシピ上欠けた素材を気力を使って生み出すだけで、ほとんど意識しないうちにヒールポーションはでき上ってしまった。
素材が足らず気力を使って素材を錬金工房内で作り出したのかどうかは確認できないが、若干疲れを感じた。
でき上ったポーションを瓶から一滴だけ手の甲に垂らしてみる。前回の良い感じのポーションより青い感じがするが果たして効能はどうだ?
ポーション瓶から一気に口に流し込んだ。俺はもちろん病気やけがをしているわけではないのでヒールポーションとしての本来の効用は不明だが、何か変わったところが気付けるかもしれない。
「ほー、こいつはいい。元気が出る。スタミナポーションよりよほど元気が出た」
先ほど感じた疲れは一気に吹き飛んで、元気いっぱいになってしまった。
「今のポーションができたということは、その前のスタミナポーションが効いたってことだろうから、今のこの元気モリモリ状態でヒールポーションを作ったらもっとすごいヒールポーションができそうだ。
よーし、いくぞー! ヒールポーショーーーン!」
気合を入れて、ヒールポーションを作った。それと同時にどっと疲れもやってきた。これはきたぞ!
ここで久々の、
『ピロロン!!』
『錬金術スキルの熟練度が一定値に達しました。スキルポイントが1付与されました。残スキルポイントは23です』
ついでに人物鑑定したところ、
名前:ゼンジロウ・イワナガ
年齢:27歳
職業:錬金術師、転移術師
スキル:錬金術:LvMax、アイテムボックス:LvMax、転移術LvMax、杖術:Lv3、人物鑑定、第2職業選択
当たり前だが何も変化はなかった。
でき上ったヒールポーションを取り出して、先ほど同様一滴手の甲に垂らしてみる。
「あれ、今度は群青色か何かになると思ったが、青みが薄れて、
いずれにせよ、思った通り。これを繰り返していけばいずれ究極ヒールポーション
先ほどの錬成でかなり疲れを感じたが、疲れてはいるもののテンションだけは上がってきた。
手にしたポーションを飲み干して、一度ゲップしたとこころで薬が効きだした。
「キター! 活力がみなぎってキター!」
先ほどとはけた違い、自分自身が内側から爆発しそうなヤヴァイ感じだ。
「いくぞー、ヒールポーーーショーーーン!」
ヒールポーションができ上ると同時に、あれほど元気がみなぎっていたのがウソのように、ぐったり疲れてしまった。
今まで通り、取り出したヒールポーションを一滴手のひらにとってみたところ、今度はどろりと白濁した液だった。ちなみに栗の花の臭いはしなかった。もしそうなら、俺ではとても飲めないからな。
変な想像をしたばっかりに、何となく飲みづらくなったポーションだがそこを堪えてトクトクトクと飲み干した。
ゲブッ。いくら薬とは言え液体をガブ飲みしているわけなので、腹が膨れてきたような、有効成分は既に吸収されているはずだから、そうでもないような。とか考えていたら、いきなり活力の波が押し寄せてきた!
「キター! ウオオオオオーーー!」
ヤヴァ過ぎだよ。そこら中を飛び回れそうだよ。
「これが最後だ! イケーーーー! ヒーーールポーーーーショーーーーーン!」
『錬金術スキルの熟練度が一定値に達しました。スキルポイントが1付与されました。残スキルポイントは24です』
遠くの方で声が聞こえた。ヒールポーションはなんとかできたのだが、
グハッ! ダメだ。めまいもするし、もう立っていられない。しばらくその場に座り込んで息を整えた俺は、でき上ったヒールポーションをアイテムボックスから取り出し、瓶のふたを開けたて、ゆっくり手の甲に一滴垂らしてみた。
瓶から糸を引いて落ちてきたのは白く発光する何かだった。
「光ってる」
手の甲の上で白く輝くその液体を舐めとると、今まで感じていた全身の疲労が吹き飛んだ。
「何だこりゃー! 俺は何を作ったんだろう? これはヤヴァイってもんじゃない。このままアイテムボックスの中に仕舞っておこう。何かのはずみで俺が死にそうになっても、これを飲めば全快しそうだ。これこそまさにヒールポーション
[あとがき]
ここまで書いてしまうと、拙作のうち一番長いものをお読みの方なら、善次郎が最後に作った白く輝くポーションの本当の名まえはお分かりと思います。
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『真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?』https://kakuyomu.jp/works/1177354054894619240 未読の方は是非。よろしくお願いします。
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