第6話 女子高生たち
こちらは、異世界に拉致召喚された3人の女子高生たち。
茶髪の二人組、
ロングの黒髪をツインテールの三つ編みにした
職業とスキルの鑑定を受け、そのどちらもなかった岩永善次郎が兵隊たちによって
それによると、とあるダンジョンを踏破して最下層に眠るという
そのあと、今いる施設などの説明を3人は受けた。今いる施設はアキナ神殿というところで、爺さんはアキナ神殿で一番偉い大神官なのだそうだ。
大神官からの話が終わった3人は、神殿の侍女に連れられ、これからの居室となる部屋に案内された。神殿の侍女は神事にかかわる巫女とは違い、神殿の高位の者を世話するのが仕事だ。
「ここがわたしの部屋なのね」
「広くて明るくてきれい」
「わたしは、このベッド」
そう言って
それを見た
「じゃあ、わたしは、このベッド」
山田圭子の隣のベッドの上に乗っかった。
「キャー、このベッドフカフカだよー」
「気持ちイー!」
部屋の中にはベッドが4つ並んで置いてあったが、そのうちの窓側の2つを、山田圭子と田原一葉が三千院華に相談することなく自分たちのものにしてしまった。それでも三千院華は何も言わず、残ったベッドのうちの一つ、二人のベッドから離れた方のベッドを使うことにした。
「そういえばさっきのおじさん、スキルも職業もなかっただなんて笑っちゃうよね。アハハハ」と、ベッドの上で山田圭子が
「わたしたちって、異世界転移したんでしょ? それでスキルも職業もないって、なにそれ。終わってるー。キャハハハ」と、
部屋の隅の椅子に座っていた三千院華は、二人の
そのころ、さっきのおじさん岩永善次郎は地下室で脱出の算段をしているところだった。
その日の夕方には晩餐会が神殿の広間で開かれた。その席で、明日から少しずつこの世界とスキルに慣れるため、最初は座学から始めると3人は大神官から言い渡されたが、未成年にもかかわらずワインを飲んでいた山田圭子と田原一葉はほとんどその言葉を聞いていなかった。ちゃんとその言葉を聞いていた三千院華は、アーティファクト回収以外のアキナ神殿の思惑を推し量るものの、これまで転移だ転生だといった物語に接したことなど一度もなかった彼女には想像することはできなかった。
そういった中で、
ドッカーン!
いきなりものすごい音がした。幸いテーブルの上のグラスなどが倒れることもなかったが、部屋の中の
「なにがあったの? 爆発?」
幸い爆発音らしき轟音はその一回だけだった。
「落ち着いてください」
一人の神官が急いで広間を出ていった。それから入れ違いで、別の神官が広間に駆け込み、大神官に早口で報告した。
「詳しいことはまだわかりませんが、神殿の一部が壊れました。
ですが、もう大丈夫です」
大神官の言葉を聞いて山田圭子と田原一葉は一様に安心していた。
一方、三千院華は、『壊れた』とはどういう意味なのか? 建物が壊れたと言っているが、爆発によって吹き飛んだ、いや、吹き飛ばされたのではないか? もしそうなら大神殿に敵対するだけでなく実力行使する組織なり人物がいるかもしれない。状況が何もわからないのに『大丈夫です』という言葉に安心はできなかった。
三千院華の不安とは別に、侍女たちによって広間の中は片付けられて晩餐会は何事もなかったように続けられた。
翌朝。
夜が明けてしばらくしたところで彼女たちの部屋に神殿の侍女たちによって朝食が運ばれた。
二日酔いだった山田圭子と田原一葉は水を飲んだだけで朝食を終えた。もちろん三千院華はしっかり朝食をとっている。
朝食後しばらくして、3人は座学のため会議室のような部屋に連れて行かれた。最初の座学はアキナ神殿の歴史で講師はアキナ神殿の神官である。彼女たちは椅子に座らされて講師の話を聞くわけだが、さっそく山田圭子と田原一葉は目を閉じてしまい、うつらうつらと船を漕ぎ始めた。
講師は二人を無視して、真面目に講義を受ける三千院華に向けて講義を続けた。昼食後も座学は続き、昼食をしっかり食べた山田圭子と田原一葉は午前中同様船を漕ぎ始めた。
その日の座学を終え、部屋に戻った3人は風呂に入った。一人ひとりに侍女が付き体や髪を洗ってくれる。湯上り後マッサージも受け、真新しい衣服に着替えた。
その後は夕食である。食事は侍女たちによって彼女たちの部屋に運ばれたもので、昨日の晩餐会ほどではなかったがそれでも豪勢なものだった。ワインなども用意されていたが、さすがに山田圭子も田原一葉も酒は口にしなかった。
昼間、十分睡眠を取った山田圭子と田原一葉は夜の間目が冴え、ベッドの上でキャハハ、ウフフと笑い声を上げながら夜遅くまで大声で話をしていた。
三千院華は明日のことも考えて、早く眠ろうと、枕に顔を埋めてなんとか眠りについた。
翌日も同じように座学があり、同じように山田圭子と田原一葉は座学中居眠りして時間が過ぎていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます