母の炭酸水

@kurokurokukuku

 

 子供の頃、お母さんが甘くない炭酸水を飲んでいるのが不思議だった。

味はなくて、苦いし、おいしくない。僕は大人になっても絶対に飲まないだろうなって思った。


大人になって、しばらく暮らして自然と炭酸水を求めるようになった。

もちろん全く甘くない。

 当時の母の年齢には追いついてはいないけど、気持ちがわかる気がする。

遺伝なのか、育てられた環境からくる当然なのか。母を身近に感じる嬉しさと、その事について会話ができない悲しさが一緒にいてくれる。


 そういえば、昨日は母の誕生日だった、

いつか母より大人になった時は、僕が不思議な事をするのだろうか?



 「お母さんへ、

今でもジュースも牛乳もお茶も好きだけど、甘くない炭酸水も好きなったよ、

ありがとう。」

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