バブみ道日丿宮組

お題:ぐふふ、解散 制限時間:15分

 ヒットとはもれなく流行ることを意味する。

 当然流行らなければ廃れ忘れられてく。

 お祖父様はよく話してくれた。

『忘れられなければ生きてる』と。

 その言葉通り、お祖父様の残した業界のポジション、規律は変えられることなく続いてる。私がその席についても業績が落ちない。

 失敗した事業はお父様が手がけたアイドルグループ。流行りのおまけ商法で売上をあげようと試みたものだったが、数ヶ月で解散の道へ進んだ。

 その失敗からお父様は追放された。お祖父様の面汚し、血を受け付いてない。いろいろな罵倒がお父様を罵った。わからないわけでもない。

 お祖父様がただ凄かった。その後継人なのだから同等の力を発すると願いを込めたかったのだろう。

 けれど、お父様にその力はなかった。

 私はお祖父様が生きてたときにやらしてもらった事業で成功を収めてた。そのため、後継人として私が指名され、世間としても名も知れ渡った。

 そうは言っても学生のみでは仕事を全面的には出来ず、方向性だけを決めお祖父様が右腕としてた人にほとんどお願いしてる。

 そんな状況であったためか、お父様は家からいなくなった。行方不明者になった。捜索にかなりのお金をつぎ込んでも痕跡一つ見つからなかった。

 そこだけ見ると、やはりお父様もお祖父様の血をきちんと受け継いでいたんだなと私は思う。けれど、周りがそれを理解することはない。逃げは逃げでいいことじゃない。

「お母様、御飯の時間です」

 寝室をノックし、扉の前にトレイに載せた夕ご飯をおく。

「……いってきます」

 これがお父様がいなくなり、変わった私の環境。

 親の顔を見ない生活だ。開かずの扉に背を向け、リビングまでくると、

「お嬢様、お車の用意ができております」

 スーツ姿の男が背を正して待ってた。

「わかった。何度もいうけれど、私はお嬢様じゃない」

「慣れてください。学校を卒業次第そうなるのですから」

 愛想笑いを浮かべることしか今の私にはできない。

 これがお祖父様ならもう少しまともな振る舞いができるのだろうけど……。

「お父様の行方は?」

「いえ、痕跡一つ見つかりません」

 そうと、私と男は家を出て鍵をしめ、車へと向かった。

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バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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