生存01

バブみ道日丿宮組

お題:燃える終身刑 制限時間:15分

生存01

 人が増えすぎた結果、原始的生活を余儀なくされる者たちもわずかばかりいる。

 もっともそれは平和的に過ごす一つの方法だったのかもしれない。

「……」

 何かを欲しいということは罪である。

 ないものはない。才能はまさにその一つに含まれる。

「また火葬ですか」

 声に振り返り、

「……どこも人数制限ってのがありますからね」

 視線をあわす。

 最近この牢獄にきた年寄りだった。

「まじめに生きようとすれば、自然の中をいきる原始生活を。文明力を求め、自分を高めようとすれば、地球を罰するものとして牢屋へ」

 年寄りは悲しげに燃え叫び声をあげる囚人を見つめる。

「そして人が多くなれば燃やされる」

「高望みなんですよ」

 人が真面目に生きることはもはや罪なのだ。だからこそ、生きながら燃やされることは生まれたことを恨んで死んでほしいものさ。生まれなければ、他の人は死ぬこともなかったし、誰かが上を目指すことはなかった。

「才能持ちだけが生きれば、この星は救われる」

「あなたもその考えに賛同してるのですか?」

 信じられないものを見る目をされた。

「そうでしょう。かつてそのせいで地球は死の星になりかねたのですから」

 それを解決するために国家での人数制限、都市での呼吸制限などがされた。そう……言葉に書いてないが死刑を無慈悲に行ったのだ。

 それから数十年後、多少なりとも地球は回復した。

「こうして燃え死ぬ人も我々のエネルギーとなる。囚人に出す食べ物にもなる」

 なにかを残せるというのは、誰であろうと嬉しいことのはずだ。

「ま、僕も生きてるのに拷問のように料理をするのはどうかと思いますがね」

 僕はいいながら、火力をあげた。

 油がかけられた直後なので、調理場でもあり処刑台でもある鉄板の上はいい塩梅に燃え広がった。

「調味料とか他の料理もしたいんですけどね、そんな機材もない」

「……それこそ高望みって言われないですかね」

 確かにそうだな。

「僕らは彼らにならないようにただ言われたことをするしかないですよ」

 それが買われた人間というペットが飼い主に愛情を示す行動なのだ。

「そろそろ持ち場にいかないと、愛情をもらえませんよ」

 僕の言葉を聞くと、年寄りは室外へ去っていった。

「……」

 飼い主がいいものを食べれるように、やはり高望みであっても聞いてみるのかもしれない。

 

 人の丸焼き以外を食べたいか、と。

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生存01 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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