ある

バブみ道日丿宮組

お題:男のエリート 制限時間:15分

ある

 人の声を聞いた。

 空高いビルの屋上では不可解現象だ。

 飛び降り自殺なんてことをされたら、ぼくのテリトリーは警察に押収される。

「……」

 仕方なく、屋上のエデンである個室から外に出ると、少女が空を見つめた。

 見たことのないセーラ服だった。ここらの学校じゃない黄色のブレザー。

「なにしてるの? ここは一応立入禁止なのだけど」

 不審者を通報すればすぐにビルの管理会社と警察がくる。何をしようと監視カメラが決定的に追い詰める。

「空を見てたの」

「空? 確かに商業区として作られたこの街を見るならば、ぼくの自慢の屋上は見栄えはいいだろうね」

 その屋上にまず人が入り込んだのが異常であることは口にしない。

 犯罪者は犯罪をまず口にしない。

 理由は多々あるだろうが、ぼくのいる部屋を攻撃しなかったことから彼女にはそんな野暮な理由はないのだろう。

「えっとね。ここに住まわせてほしいの」

 振り返った少女は満面の笑みだった。まるで断ることがないことをしてるような影が見つからない。

「住むってぼくの部屋に?」

「部屋じゃなくてもいい。テントであれば、このスペースに住めるでしょ?」

 彼女は屋上を見渡す。

 確かに広さはかなりある。誰かが泊まりに来たときにいつか小屋でも作ろうかと考えてたくらいだ。

「ふむ……ぼくたちはじめて会うんだよね?」

「もちろん。あったこともないし、私のぱんつを見せたこともないよ」

 彼女がいったことの半分はよくわからなかったが、接点がないのは確かなようだ。

「じゃぁここで暮らすってことはわかってるよね?」

「仕事をするんだよね?」

 彼女は再び屋上の外に目を向ける。

「そう。この商業区の管理をすることが今のぼくのやるべきことなのだ」

 だからこそ、屋上という立地に暮らせてるし、セキュリティなど様々なものが僕を援助する。

「なら役に立ててると思う」

 そういって彼女は一枚のカードをぼくに投げつけた。

「これはセキュリティカードか……」

 見たこともない形。わざわざこんなものを作るぐらいここにきたかったのか。それだけの実力者がここに到達したとなればセキュリティは反応しない。おそらくそこらへんも対応済み。

「まずはこのビルを強くする。それで私の部屋も作る。もしかしたら二人の部屋にもなるかもしれないし、いろいろしたい」

「学生……だよね? 知識をどこで得たとかはきかないけど、大丈夫なの?」

「大丈夫。大丈夫だから無理やりきた」

 近づいてきた彼女はぼくに手をのばす。

「これからよろしくね、社長さん」

「よくわからないけど、副社長さんとして頑張ってみて」


 こうしてぼくは知らない少女を入れた。

 まさに運命の人になるとは思ってもいなかった。

 子供の頃、数度しか顔を合わせてなかったそんな少女が約束を守りに来た。

 つまりはそんな繋がりがじつはあったのだ。


 そして深いつながりをぼくらはもった。

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ある バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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