第72話 私の時と全然反応違うよねーっ?
本日、先に第71話『ずっと前から好きだったもーん♡』を投稿しております。
未読の方は、前話から読んでいただけますと幸いです。
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食後、俺たちは華音ちゃんも交えて再びビーチに出ていた。
「ねねっ、お義兄さん! 一緒にビーチバレーして遊ぼーっ」
華音ちゃんも水着に着替えて、今はビーチボール片手にもう片方の手で俺の腕を掻き抱いている。
白いビキニは唯華と同じくらい大胆なもので、にも拘わらずこの距離感なのは流石というか……スキンシップがオープンだな……。
「ねぇ、華音? 流石に、その恰好でその距離感はさぁ……! ちょーっと、はしたないとか思わないのかなぁ……!? ほら、女の子には慎みとか大事じゃない……!?」
「あははっ。お姉、お婆様みたいなこと言うじゃーん」
「ぐむっ……!」
過去にずっと自分が否定してきた類の言葉を自分が口にしてしまったと思ったのか、唯華は呻いて閉口した様子だ。
うーん……ここは俺が、一言注意しておくべきか。
「まぁでも華音ちゃん。男を相手にこういうのは、あんまり良くないかもしれないね。周囲にあらぬ誤解を与えたり、相手に変な勘違いされることもあるだろうし」
「ふふーん? それってそれって? お義兄さんも、変な勘違いしちゃうってことっ?」
「俺は勿論、義妹相手にそんなこと考えないけどさ」
「だったら、いいでしょっ♡」
「うーん……」
そう言われると否定しづらいけど……さっきから、唯華の視線が痛い。
まぁ、妹が恋人でもない男とこんな距離感だと心配になるよな……。
俺も、一葉がやってたら是が非でも止めるところだろう。
「……だったら、私がやっても良いよね?」
「っ……!?」
って……唯華までなぜ腕を絡めてくる!?
「秀くんは、変な勘違いなんてしないんだもんねー?」
「そ、そりゃ勿論……!」
なぜかちょっと拗ねた様子の『親友』相手にも、そんなことは考えたりしない……けど!
いやあの、流石に肌が直で触れ合うこの距離はちょっと……!
というか、胸が……!
胸が、当たっているのですが……!?
「にひっ」
華音ちゃんが、何やらニマッと笑う。
「お義兄さん、私の時と全然反応違うよねーっ?」
「そりゃ、義妹相手とは違うよ……」
……待てよ?
よく考えたら、華音ちゃんはどこまで知ってるんだ……?
唯華が本当の事情を話してない可能性を考慮すると、ちゃんと『夫婦』を演じないとマズいんじゃないのか?
華音ちゃんも、俺のことを義兄だから……『そういうこと』を考えない相手だからこそこんなに大っぴらにスキンシップ取ってるんだろうし……。
だとすれば、唯華相手に動揺した姿をあんまり見せるのもマズい……いや、どうなんだ?
『妻』相手に意識するのはむしろ自然なことなんじゃなのか……?
それとも、夫婦になってるのに今更こんなことで動揺するのはおかしい……?
正解がわからん……! と。
結局どちらの腕にも抱きつかれたまま、悶々と考える俺なのだった。
♥ ♥ ♥
おっひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
秀くんの腕が、私の胸に……!
ついつい華音に対抗しちゃったけど、ねぇこれもう裸で抱きついてるようなもんじゃない!?
でもでも、逞しい秀くんの腕を直接肌で感じられるのはちょっと好きかも……!
ドキドキするし恥ずかしくて今すぐ離れたい気持ちと、ずっとこうしてたいって気持ちがせめぎ合ってるよね……!
……それに。
華音が抱きついても全く動揺しなかった秀くんが、私が同じことしたらあからさまにドギマギした様子を見せてるっていうのは……正直、すっごく嬉しい!
どうよ華音、これが一日の長ってやつ……んんっ?
「んふっ」
華音、なぜか嬉しそうに笑ってるし……この程度じゃ、牽制にもならない……ってこと……?
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