第4話

みんなが雨を嫌うから

じめじめして蒸し蒸しして鬱陶しいから

豪雨で被害にあったから

もう要らないと拒否されたから


雨は自分の居場所などないのだと知り、

黙って其処を去りました


川の水が干からびたから、農作物が育たないから、生活用水が無くなるから


どうか恵みをくださいと今になって

人間たちは懇願するから


あぁ、なんて都合のいい存在なのだろう私は

嫌われても嫌われても助けなければいけないと思ってしまう私は


私も人間も酷く愚かだな、と

感情のない声で言うのです


期待なんてされたくないしそれに応えたくもない

はじめから私は優しくなんてないのだ

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紫陽花の花がきれいだから おちば @ochiba_2

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