第25話

 私を気に掛けてか殊更明るく振る舞ってくれる。彼女の周りに人が集まる由縁だろう。私に似て人の顔色をよく見てる。それでいて自分から相手に寄り添う事の出来る人だ。




 孤立気味な私が一人じゃ無いと想えるのは紗良のおかげだ。彼女にとっての複数人のうちの一人であっても私にとっては唯一の一人だ。たまに鬱陶しく感じるも大切なのには変わりないな。




「うん、ありがと。それと、紗良」




 紗良相手なら多少素直な自分で居られる。だから簡単に言えると思ったのに。




「うん、どうした」




「あの、さ」




 簡単な事は人それぞれで、私には「一緒に旅行いかない」と言うには難しくって、それでも急かすこと無く私の言葉を待ってくれる紗良に申し訳なって、でもそうなると変に罪悪感が芽生えてどんどん言いづらくなっていく。




「ん~?」




 あえて視線を校庭に向けて待ってくれている。




 そう言えば友達を遊び?遊びだな、うん。遊びに誘ったことが無い。今までというか高校に入ってからは紗良に手を引っ張られてあっちへこっちへと色んな所へと行ったけど私から誘ったことは一度も無いかもしれない。




 次の言葉が言えずに居るとチャイムが鳴ってしまった。いつもはもっと長く感じるのに。




「慌てなさんな、また後で」




「あ、うん」




 肩に手をおいてニッと笑いかけて元の席に戻っていく背中を見つめながらため息を吐いたのだった。不甲斐ない自分がため息と共にどっか飛んでけばいいと思いながら。

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余命2年日記 @sinkisiki

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