第23話

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風呂に入って後は寝るだけになって日課の読書をしようかとしたらお姉ちゃんが部屋にやってきた。




「どうしたの」




「ねえ、どうしていきなり京都行こうと思ったの」




 まあ、そう思うよね。今まで私はどこかに自主的に行こうとしたことは無い。




 両親は自主性の無い私を不安に思ってた時期が合ったと思う。友達の家に行くとか家に友達を呼ぶなんてこともしたこと無くて学校の図書館かピアノのレッスンしかしてこない小学時代があったから不安だったろうな。




 子供ながらに人の顔ばかり伺ってわがまましない子、それが私だった。




 実はピアノ止めたいと言ったときは凄く怖かった。




 否定されたらどうしよう。そんな考えが幼いながらあった。




 きっかけが無かったら私は一人でどこかに行こうとなんて思わなかった。




「あのブログがきっかけかなあ」




「えっと、余命二年日記だっけ」




「うん。なんて言うか、羨ましかったのかなあ」




 停滞した私と命が短いながらもがきあらがう様に行動する姿勢が、羨ましく感じた。




「それで即行動ってっ極端だね」




「あとは、紗良がいたからかな」




 もう一つ、私が孤独だったら話す事も無く思った事は思ったままで自分の中で溶けて消えて何もなかったかのように過ごして辿ろうから。何もしないのは楽だから。




「紗良ちゃん?」




「うん、なんかねお姉ちゃんみたいに先読みするからポロッと言ったら最後逃げ道を塞ぐんだよね」




「あー、繋がったわ。それで急にバイトって言い始めたのか」




「そういうわけ」




「でもあのブログ私も見たけどまだ何処にも行ってなくない?なのに行こうとしたんだ」




 余命二年。あと二年の時間を好きなように使う。私は何十年とある余命をただ浪費する。社会人になったら普通の人は仕事に就きお金を稼ぎ、自由は少ないだろう。なら学生はどうだろう。社会人に比べれば、その気になれば何だってチャレンジ出来るのでは無いか、そう思ったんだ。思ってしまったんだ。




「まあ、最近読んでた本の舞台が京都って事もあるかもね」




 正直に言えない私は視線を逸らしてそれっぽいことを言った。




 私はお姉ちゃんとの会話が楽しかったのか長いことおしゃべりを続けて気付けばもう日をまたぐ頃になっていた。




 若干の名残惜しさはあるけれどもう寝ようとお開きになった。




 部屋の電気を消してベットに潜り込むとお姉ちゃんも入ってくる。




「いや、なんで」




 小さい頃はよく一緒に寝ていたと思う。いつからか別々で寝るようになってそれが当たり前になった。




「え、駄目?」




「駄目じゃ無いけど...」




 高校生にもなってという考えがよぎる。そしてこうも思う。果たしてこの考えは本当に私の、私だけの考えや思いなのかと。この年頃特有の固定観念なだけじゃ無いのかと。




 自分以外がやっていないことを異端だと大多数が言ってるからじゃないのかと。




 私だけで考える。お姉ちゃんが一緒は嫌か。否だ。恥ずかしいし図に乗るから絶対に言わないけど私はお姉ちゃんが好きだ。無口な私の良き理解者だとも思う。




「お姉ちゃんがいいなら私も良いよ」




 部屋の暗さに目が慣れて無くてこの時お姉ちゃんがどんな顔をしてたのかは分らないけど多分驚いた顔でもしてたんじゃないかなと思う。

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