第20話

「なら、私の手伝いもする?」




 お姉ちゃんが対抗意識を募らせながら私に言ってくる。




「私なんかがお姉ちゃんの手伝いなんて出来る気がしないんだけど」




「そ、そうね。よく考えたら何も無いわね」




 テンションが見るからに下がって拗ねたように私を見てくる。普段は毅然とした態度なだけに少し新鮮だった。




 私には他の人を圧倒する才能は持ち合わせてはいない。




 お姉ちゃんは私とは違い物書きとしての才能があった。小学校の作文コンクールで大人顔負けな作文を披露して注目を浴びていた。幼い私は何でお姉ちゃんが褒められているのか分んないながらも嬉しく思ったものだ。




 世間を少し知って少しだけ自分が嫌になったものだ。




 どうして自分だけ、なんて思ったこともあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る