第13話
そんな感じに両親ですら暴けなかった、開くことができなかった心をいとも簡単にこじ開けてしまうよな人なのだ。恐ろしくないわけがない。今はもう社会人として働いていて、写真家兼小説家という異質な職業を生業として、成功を収めているよな超人。いつもはフォトショップで店の近くに部屋を借りていてそこで暮らしているのに、なんで!このタイミングで!居るんだよ!
「ははーん。何か決心したのかな」
開口一番これである。もはや妖怪説を唱えたいくらいだ。
「別に、お姉ちゃんには関係ないことだよ」
「そ、旅でもするなら準備はきちんとしなね」
「んな、なんでそれを...」
紗良には今日思いついた感じに言ったばかりだから情報源は実質ないに等しいはずなのに。
「わ、本当に旅する気なんだ。家は、パソコン共用してるんだから履歴見ればなんとなく察しはつくさ」
鎌かけられた上に私の行動を逐一探りを入れる何て、なんて恐ろしい。
そういえばシスコンなんだよなこの人、多分だけど。
全てを見透かすお姉ちゃんの視線が背中に感じながら私は「余命二年日記」を開く。ブログのほとんどは返信機能があるが、このブログも例に漏れず存在していた。
必要ないかもしれないし何なら迷惑がられるだろうがどうしても私はこのブログを書いている回線の向こうに言葉を残していきたかった。特に返事などの期待はしていなかった。
「つまんないな、と毎日思っていました。ブログをみて決心しました。私も何処に行ってみよう。そう思いました」
それだけ書いておいた。今日は更新しておらずあのときのままだった。
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