第11話
玄関の前にいた。いや、当たり前のことなのは分かってる。完全にトランス状態で帰ってきたようだった。よく事故らなかったな。あれか、逆に自然と危険を回避していたのかもしれないと思うことにした。
玄関を開け、靴が普段より一つ多いことに私は戦慄を覚えた。嫌な汗が背筋をなぞる。
「た、ただいま...帰りましたぁ」
蚊が鳴くよな警戒心MAXな感じになってしまった。だって、お姉ちゃんいるよね、確実に。お姉ちゃんの勘の良さを見くびってはいけない。
私がピアノのコンクールで賞をのがしてそれでも親の前では残念だっだよ、と笑って見せたことがある。両親は次頑張ろう。とか、パパは結喜の演奏が一番綺麗だと思ったよ。だとか言って慰めてくれて、私もそれに笑顔で答えていた気がする。その時お姉ちゃんは何も言わなかった。
私がトイレ行ってくる。といい両親から離れて時にお姉ちゃんは私も行くと言い付いてきた。その時に見透かしたように
「悔しい思いを言葉にできないのは弱虫さんがすることだね」
決して叱るでもなく突然私は弱い子認定されてしまった。その時の直接的な言葉じゃなかったから何のことを言われているのか分からなかった。
「えっと、何のこと」
だから直接聞くことにした。多分睨んでいたと思う。意味分からない言葉を真顔で言ってくるお姉ちゃんが気味が悪くて、なんか別の生き物に見えていたのだと思う。
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