第16話
おっぱいも、抱っこも、おんぶも、子守り歌も、何もかもすべてが無料だ。お金には代えられない大切なものが、与えられてゆく。与える方も、受けとる方も、愛しい愛しいという、喜びに満ちた幸せが生まれてゆく。それが家庭という、揺りかごだ。家事は、その揺りかごの中で、人が生きてゆくための働きとなる。外へ出て収入を得て来る夫とともに、母は、自分の命より大切に思う我が子や、夫や、夫の両親を守るために、毎日、毎日、家事に力を尽くす。そして気が付けば、自分も高齢者と呼ばれる年齢にはなっている。何ごともなければ、そこから今度は、自分の夢や楽しみのための新しい人生が始まる。結婚したばかりの頃、40年先、50年先の自分の人生を考えて、スタートする人はいるのだろうか。そんな賢い人もいるのかもしれないが、私などは、無知もいいところで、私は一体、何をしていたのだろうと、自分に腹が立つ。専業主婦は、決して自分の立場に安心していてはならない。1日に一時間働いて千円の収入があるとして、一月に25日働くところ二万五千円になる。一年間で三十万になる。10年で300万、40年で千二百万円になる。1日一時間でもいい。自分のための収入を得ることだ。家は夫のものだ。夫の両親に、いかばかり心を傾けても、文句を言われることはあっても、感謝されることはない。当たり前だという常識がそこにある。果たしてそうだろうか。専業主婦は、自分の命と引き換えに、自分を鞭打って奉仕することが当然とされている。果たしてそれが人として、許されることだろうか。専業主婦という立場を、収入のない、無力な立場としないために、専業主婦になった時から、ぜひとも、家事の合間に収入を得るべきだ。結婚とは、先ざき、どうなるかわからない、言わば、自分の一生を賭けた大博打だ。吉と出るか、凶と出るか。どうなってもいいように手を打っておくことが、自分を守る。結婚という制度が、女性への際限のない搾取であってはならない。
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