第9話

夫婦は、子が生まれると両親になる。子は、親の言葉を聞いて育つものだ。夫と妻は結ばれて一体となる。一人と一人であったものが、一組という強い結びつきとなる。一本の細い縄も二本縒りあわせれば、太く丈夫な縄となり大いに役に立つものだ。結婚して夫婦になっても、心と心が結ばれることがなく、理解し合えなければ、太い、一組としての力は、発揮できるものではなかろう。挨拶のアイは、愛であり、相手のアイでもある。あなたを愛しく思っていますよ。という思いが挨拶には込められる。言葉の響きが同じだということは、同じ意味を持っている。相手の相という文字は、木へんに目と書く。つまり、目にはその人の気力が宿っていることを、文字は伝えている。人と会ったときは相手の目を見る。目の中にその人のすべてがある。目を見ればその人が元気かどうか、どんな人なのかが伝わってくる。人は、意識して美しいものを見ることが大切だ。人が成長するために必要なものは、何も食事だけではない。目に入るもの、耳に聞こえるもの、鼻から嗅ぐもの、手に触れるもの。何もかもすべてが一人の人間の精神の糧となる。

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