第8話

それこそは、生涯に渡って、私たち家族を苦しめた夫の楽しみだったのだ。私はその麻雀に金銭が懸けられる賭博だということを知らなかった。そしてその賭博は、職場ぐるみで行われていたことも知らなかった。もちろん、仲間に入らない人もいたと信じたい。襟をただすべき職場に務めながら、暇さえあれば、連日連夜、家庭を顧みることもなく、目の色を変えてかけ麻雀に夢中になる夫が、私には理解できなかった。たまに、朝起きて来た夫と台所で顔を合わせると、私はニコッと会釈をして[お早うございます!]と、挨拶をした。すると夫は、[夫婦に挨拶は要らん!]といって私を叱りつけ不機嫌になった。どうして夫婦には挨拶は要らないのか。夫の言動行動は、私にはわからないことばかりだった。私はいつもどうすればいいのかわからず、途方に暮れて、悩むようになった。

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