第3話

経済的に自立しているということは、生きるための基礎だ。ここが充分でなければ満足に生きて行くことは、不可能だ。衣食住はもちろん、教育、趣味、なにもかもすべて。本一冊、ペン一本、パン一個買おうと思ったら、金がいる。豊かであるということほど大事なものはない。ジャンバルジャンは、パン一個が欲しくて捕らえられ、一体何年投獄されたのだ。よくこんなことが言える。こんな言葉は、金持ちから見た貧乏人への哀れみだと。静かに腹がたっていた。私は一時期、ホームレスになったことがある。帰る家のない惨めさがわかるだろうか。

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