第2話


 アリスが無理やり自分の中で納得し、軽く溜息を吐く。

 そして、何かを言いかける前にティリスが爆弾発言を投下した。


「それに一緒に入るなら……」


 チラッと俺の方を見る。

 え?なんでちょっと恥ずかしそうな目でこっちを見てんの?

 俺、温泉好きだから別に構わないけど……。


「ピーターさんの方が……」

「それはダメ~~~!!!です!」


 アリスが顔を真っ赤にしてティリスを止めに入る。

 ティリスは急に大声を出され、両手をギュッと握りしめられてアワアワとしていた。

 っつーか、もしかしてアリス……。


「いいですか?確かにピーターは子供に興味ないとは言ってます。でも、一緒にお風呂に入ったら何をされても文句は言えませんよ!?」

「えぇ!?」


 なんでそんな驚いた感じで俺を見るの?

 風評被害だよ?

 そんな趣味はねぇよ。


「私と一緒に入るのが嫌と言うならそれでもいいです。私がガマンするだけで良いので……。でも!」


 ヒートアップしたアリスを止める者はこの場にはいない。


「それでもご自分の体は大事にするべきです!」

「そうだぞ。淫乱発情魔族娘」

「ほら、ピーターだってこう言っ……あれ?なんかおかしくないですか?」


 俺が発した言葉に首を傾げるアリス。

 そのまま壊れたロボットのようにギギギと首を回して俺の方に顔を向ける。


「あの……どっちかって言うと、淫乱なのはティリスですよね?あれ?魔族娘?」

「いや、この場において異性と風呂に入りたいだなんて欲望を全開にしているのはお前だ」

「え?」


 疑問声のまま、ティリスの目を至近距離で見つめる。

 二人とも、互いの目を見つめ合う。

 アリスは真剣に、ティリスは恥ずかしそうにしているのがとても面白い。

 これ、ティリス食われないよな?


「またまたぁ~」


 ティリスから手を離し、アリスは恥ずかしそうに顔を赤らめながら笑顔になる。

 冗談を笑い飛ばすようにアハハと渇いた声を出してから、ティリスを指さす。

 おい、人を指さすな。


「ティリスが男性だなんて」

「あ、あのっ!」

「そうですよね?男の子なんかじゃないですよね?だって、女の子の旅衣装ですもんね」

「ボク……ちゃんと男です!」


 まぁ、ティリスの涙目でのカミングアウトに対し、アリスが「えぇ~!!!?」と絶叫したのは言うまでもない。


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