第3話
「いいんですか?」
「何が?」
二人っきりになった途端、アリスが口を開く。
「僅かな麦と食べられる野草や果物、そしてその知識だけで良いなんて言ってしまって」
「良いんだよ。前にも言っただろう?金を毟れる奴からは毟り取るが、金のない奴から巻き上げる趣味はないって」
「まぁ、言ってましたね」
なんだか不満そう?
よくわかんないけど、俺は少し心配しながら聞き返す。
「さっきも言ったけど、あそこで村の人間と待ってていいんだぞ?」
「見知らぬ人間のそばに居るよりは、ここの方が安心ですよ」
「盗賊だぞ?子供でも捕えて犯してくるかもしれんぞ?」
「それを言うなら」
アリスが視線を移すと、その先には旅人が隠れながらこちらの様子をうかがっていた。
「あぁ……。あれは大丈夫だ」
「あっちも十分に美少女だと思いますけど」
「んー……。まぁ、そうなんだけど。一人で旅してきたくらいだ。自衛の術は持ってるだろ」
「私だって持ってます。この銃だってだいぶうまく扱えるんですから」
それはその通り。
アリスは才能があったのか、僅か数日で銃の腕前がかなり上達していた。
そして、攻撃に限った話で言えば、魔術よりも銃弾での攻撃の方が魔力消費に対する威力効率がいいらしい。
「まぁ、あんまり無駄弾撃つなよ?あと、援護射撃でフレンドリーファイアしないでくれよ」
「したことないじゃないですか」
「狭い屋内での戦闘になったらどうなるかわかんないだろ。村の人間も殺すなよ。誤射とかしたら報酬減るかもしんないんだから」
「わかりました。後ろは任せてください」
頼もしいな。小さいけど。
「変な事考えました?」
「いいや?」
鋭いなぁ。子供だけど。
「失礼な事考えてますよね?」
「うん」
こんな馬鹿な事をやっていると……。
「あぁ?」
「おぉ?」
盗賊と遭遇した。
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