???
必死だった。
信頼していた臣下に裏切られ、魔力を奪われ、すべてを失い、私は死にたくないという一心で意地汚く逃げた。
運の悪い事に逃亡中に護衛の二人ともはぐれ、森を彷徨う事態になり、追手に追いつかれてしまう。
なんでこう不運というのは重なってしまうんだろう。
よりにもよってミノタウロスなんてものに見つかるとは……。
兵士であっても、彼らに話は通じない。
難しい言葉で騙すことはできず、容姿で篭絡することもできない。
単純な命令をこなすだけの模範的な兵士は、私の命乞いに耳を貸すことなく私を殺した。
「あれ?」
走馬灯の中で過去を振り返っているつもりだった私の目に光が入る。
重い瞼を開け、揺らぐ視界がどんどんと鮮明になっていく。
そんな私の寝起きに貢献したのは……。
「きゃあぁぁぁああ!!!」
ミノタウロスの顔だった。
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