第3話
目を覚ますと頭が軽くなっていた。
寝る前のような痛みは無く、すっきりとした目覚め。
二日酔いが治ってる!
「んッ!」
寝台から降り、背伸びをして目の前を見つめると、見知らぬ少女が離れたところに設置された寝台の上でスヤスヤと眠っていた。
呼吸のたびに上下する体に俺はホッとする。
「良かった。助かったんだな」
改めて近くで見ると、ものすごい美少女だ。
顔面偏差値がアイドルとか女優でも中々いないようなところまで行っている。
銀色の髪に、片側が壊れている黒い巻き角、褐色の肌にはシミもなく、小さな体にあどけない顔立ち。
なんだよ子供かよ。
助けた時は顔しか見てなかったから、気付かんかった。
んー……、見た目だけなら10歳前後か?
助けた礼に何をして貰おうかとウキウキしていたんだが、当てが外れたな。
まぁ、将来に期待って所か……。
ちょっとガッカリしつつ、BGMみたいに鳴り響いている音の発生源に目を向ける。
「うわぁお」
ガンガンと領域を殴っているミノタウロス(仮)がまさかの分裂(笑)。
ってか、仲間を呼んで増えていた。
10体?20体?
他のもたくさんいるし……。
「なんでこんなに囲まれてんだよ」
いつのまにか腕を失った奴(鎧あり)は居なくなっており、皆が両腕両足健在な健康体(鎧なし)。
美少女助けた時の状況としてどうよ?これ……。
「全然事情分かんないのに殺すとかあんましたくないんだけど」
言葉が通じる相手とは思えない。
眼とか表情が、キレてて話通じませんって言ってるし。
「しゃーねぇーなー。《拠点防御結界(ナイト・ランパート)》」
助けた少女に結界を施し、俺は《個人収納空間(ストレージ)》から紅い刀身の相棒を……。
お?
取り出せず困惑していると、領域内に相棒が横たわっていた。
「あぁ、収納し忘れてたか」
いっけね……と、セルフで頭を小突いてから、相棒を拾い上げる。
「んじゃあ、お掃除開始しますか」
自分に対して《身体強化(パワード)》、相棒には《耐久強化(プロテクション)》と《切断力強化(シャープネス)》を発動。
魔力が十分に行き渡ったところでASDを操作し、《領域》を解除。
突如、《領域》の壁が失われ、怒りに我を忘れたミノタウロス(仮)がなだれ込んでくる。
「っつか、なんでこんなにキレてんの?」
俺は意味も分からず、牛の解体作業に没頭した。
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