第3話 ENDmarker.

 目が覚めた。

 生きている。


「おい動くな。腹に弾丸、上半身は丸焦げだ。死ぬぞ」


 死にたかったのかもしれない。

 彼女に。

 いや。

 死んだら彼女に逢えないのかな。試してもいいという、気持ちになってしまっている。

 死にかけたときだけ、彼女のことを思い出す。

 そしてまだ、今は、彼女のことを覚えている。傘。雪。右隣の温度。彼女を。

 忘れたくない。

 忘れてしまう。

 だから、なるべく今は。

 彼女のことを思い出していたかった。

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