第2話

 背中。あたたかい。

 彼女を。感じる。

 自分は死にかけている。本当に死ぬかもしれない。それでも。今。ここには。彼女がいる。自分の背中に。そして、右隣に移動してきた。

 なにしてんだ。まだ朝だぞ。寝ようよ。

 なんとか絞り出した言葉。全ての感情を隠し去ってしまって、とりあえずの笑顔。彼女は、頷くだけ。

 彼女の持っていた傘を、そっと、奪う。

 雪が、積もりはじめている。

 昼までには、街が雪に染まるかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る