第82話 ダンジョンへ帰還
翌朝。
朝早くからドワーフの国を出て、ダンジョンへ向けて出発していた。
流石に昨日の夜はサーシャさんもお酒は飲まなかったらしく、酔っぱらっていない。
少し安心した。
あの後、街の中を歩き回ったのだが、いくつかの魔道具と魔道具の素材を買っただけで、正直『観光』と言えることはしなかった。
元々観光って苦手なんだよね。
目的もなく街を見て回るだけっていうのが、どうしても理解できない派なのだ。
街の歴史とか、全然興味が湧かないんだよね。
サクッと買い物を終わらせて宿に戻ったよ。
そんなわけでダンジョンへ向けて移動しているのだが、特にモンスターが出るわけでもなく、順調に進んでいた。
時々襲ってくるモンスターも、エルフちゃんとパットン君に丸投げできる程度のやつばかり。
せっかく作った武器を試そうと思えない相手ばかりなので、退屈な帰り道となっていた。
3日後、問題なくダンジョンへと戻って来たのだが、そこは野戦病院のように大勢の怪我をしたエルフで溢れていた。
……ちょっと怪我人が多すぎませんかね?
何かあったのかな?
「戻ったか。いい武器はあったか?」
戻って来たことに気づいた隊長さんに声をかけられた。
隊長さんは怪我もなく、普通に元気そうだ。
「なかったので自分で作りました。」
「それは凄いな。見ての通りちょっといろいろあって戦力が必要だ。期待しているぞ。」
「何があったんですか?」
「君が地下3階から下のモンスターを全滅させていたから気づくのが遅れたが、このダンジョンはモンスターが生まれるペースが速いみたいだ。それにあのスライムは厄介だな。ただのスライムと油断して近づいた者が、死にはしなかったが、一瞬で戦闘不能になったぞ。」
……電気が流れて死にはしないって、エルフって人間より生命力あるのかな?
人間なら心臓が止まると思うんだけど。
それとも、あのスライムの出す電気ってあんまり強くないのかな?
戦闘不能ということは、米の国の警察とかが持っているテーザー銃程度の威力はありそうだけど……。
電気は怖いから試したくないね。
とりあえず困っているらしいので、少し休んでから地下3階へ向かうことにした。
地下1階と2階は素通りして、地下3階へと下りると、そこには大量のスライムが。
……これって前の大量発生じゃない?
明らかに量がおかしいんだけど。
前もそこそこ数はいたけど、ここまで多くはなかったよ?
まぁ、とりあえず倒すことにする。
どうせ破魔魔法で簡単に倒せるのだ。
全て私の経験値になって貰おう。
3時間近くかけて、地下3階にいた大量の電気スライムをたぶん全て倒した。
『たぶん』だ。
倒している最中に新しいスライムが湧いて出たりしたから、確証はない。
まぁ、湧く度に倒せばいいだけだし、問題はないだろう。
沢山倒したのでレベルは37まで上がって、SPが195も余っている。
魔力を200から300に上げようかな?
戦闘面ではそこまで必要ないけど、魔法で物作りをするならもう少し余裕が欲しいし。
____________
Lv.37(31%)
・HP(体力):88/100
・MP(魔力)167/300
・STR(筋力):200
・MAG(超感覚):100
・SEN(器用さ):200
・COG(認識力):100
・INT(知力):100
・LUC(運):100
SP.95
スキル
・ステータス割り振り
・氷魔法(11/100)
・破魔魔法(21/100)
・火魔法(35/100)
・物理魔法(46/100)
・錬成魔法(38/100)
____________
最近は物理魔法が伸びなくなってきたけど、錬成魔法と火魔法は大きく伸びたなぁ。
たぶん、武器作りの時に一気に伸びたと思うんだけど、この調子なら物理魔法に追いついちゃうかな?
そんなことを考えながら地下4階へと下りる。
相変わらず糞暑いが、今の私は氷魔法で周囲の気温を下げることが出来るのだ。
いちいち服を脱がなくても問題ない程度には涼しくできる。
氷魔法は素晴らしいなぁ……。
さて、地下4階は以前と比べ、特に変わった様子はない。
モンスターの大量発生は地下3階のスライムだけっぽいね。
インベントリからハンマーを取り出して、蟹が潜っていそうな地面に物理魔法を撃ち込んでみる。
当たりだったのか、蟹が地面から飛び出して来たので、ハンマーで殴ってみる。
……うん、陥没したね。
ワンパンで、蟹は魔石を残して消えてしまった。
甲羅の上から殴っても問題なさそうなので、出来るだけ蟹を倒しながら先へと進む。
地下5階へ下りる階段まで問題なくたどり着いたが、最初に来た時とあまり蟹の数が変わらない感じなので、このダンジョンは確かにモンスターの再湧きが早いのかもしれないね。
地下5階。
相変わらずクッソ寒いところだが、今の私は以前と違って火魔法で少し周囲の気温を上げることが出来るのだ。
むしろ火魔法で温度を上げる練習をした結果、氷魔法で気温を下げられるようになったのだが……。
まぁ、地下4階で服を脱ぐ必要がなかったので、特に着替える必要もない。
少し進むと、以前壊した壁がが復活していた。
地下1階から地下2階へ落ちれる穴は直っていなかったのに……。
ギミック系の物は復活するのかな?
とりあえず以前と同じ様に壁を壊す。
前は蹴り壊したが、今回はハンマーがあるのだ。
1撃で壊してやったぜ。
通路を進んでいくと、以前と同じように、広い空間の中に白いドラゴンが復活していた。
新しいハンマーを試すにはぴったりの相手だろう。
とりあえず、斧で足首を狙って切りつけてみる。
刃がドラゴンの皮膚へと沈み込み、骨に食い込んで止まってしまった。
以前の物理魔法ナイフでは全然斬れなかったので、非常に大きな違いだ。
物理魔法ナイフとこの斧は、そこまで切れ味には差がない気がする。
それでも、全然斬れなかった物理魔法ナイフと違い、斧ではしっかりと皮膚を切り、骨にまで食い込むことが出来たのは、『武器の重さ』が威力に直結するからだろう。
……さて、斧が足の骨にしっかりと食い込み過ぎて抜けないのだが、どうしようかな?
とりあえず一度、痛みで暴れるドラゴンから離れ、落ち着くのを待ってから斧を回収した。
そっと近づいて、一気に無理やり引き抜いたのだ。
少し刃が曲がってしまったが、後で直せばいいだろう。
流石に刃が曲がってしまった斧で攻撃しようとは思えないので、仕方がなく、ドラゴンの足の指を狙ってハンマーを振り下ろした。
ハンマーは狙い通りにドラゴンの指を捉え、氷の床に非常に大きな亀裂を作り出しながら、ドラゴンの足の指の骨を粉々に砕いた。
足の指を粉々に砕かれ、悲鳴のような咆哮を上げながらドラゴンが倒れたので、ここぞとばかりにドラゴンの頭に何度もハンマーを振り下ろすと、すぐにドラゴンは消え去り、魔石と宝箱が出現した。
以前と比べると圧倒的に速く討伐出来た。
やはり武器は大事。
ハンマーの出来栄えに満足しながらも、以前引き返した地下6階へと進むのだった。
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