第18話 出発前夜

あれから四日が経過した。

台車はほとんど完成しており、水を入れるための樽や肉を補完する箱なども完成している。

問題は干し肉が不味いことだけだった。

だって塩とかないし、しょうがないよね?

ついでに調理道具もない。

これでも筋力と器用さを上げたからか、相当順調に準備が進んだように思う。

レベルに関しては全然上がらなくなった。

スライムを倒しても、1%も経験値が上がらないのだ。

魔物化したウサギを一匹倒したときも上がらなかったが、二匹目で1%増えたので、小数点以下は表示されないのだろう。


「水、食料、薪、色々使える石……。他に持って行くべきものはあるかな?」


ベアリングを考えたときの知力はどこへ行ったのか。

あの時は『知力凄い!』と思ったが、今思うと偶然だった気がしなくもない。

記憶力は良くなった気がするのだが、思考力は関係ないのかもしれない。


「とりあえず明日にはここを出発できそうだけど、この先どうなるかな……。」


ここから動かずに一生サバイバル生活する選択肢は無い。

だったら移動するしかないが、初めてのことは常に不安が付きまとうのだ。


「確か川に沿って歩いて行けば二日か三日で海に着くんだったよな?」


これはまぁ、少し不安だけど危険性はあんまりない気がする。


「問題は海岸線を東に三週間だよな。水・食料・体調・天候・モンスターと本当にどうなることやら……。危険領域は最短で済むと言ってたが、そもそも危険領域を知らないからどうしようもないし……。」


名前の通り危険な領域なのだろうが、モンスターが危険なのか、それとも他に危険な要因があるのか。

どこからが危険領域なのかの見分けすら出来ない以上、気づいたら危険だったという状況もあり得るのだ。


「こういう時に信仰深い人は祈るんだろうなぁ……。」


旅の安全。

実際に自分が旅をしなくちゃいけないとなると、神を信じ祈りたくもなる。

ステータスに運とあるが、上げるべきなのだろうか?

魔法の使い方が分かった時ように、SPは7残してある。


「やめとこう。運なんてステータスはあまり信用しちゃいけない気がする。」


この後も様々なことを考えてしまい、出発予定前夜はなかなか寝付けないまま時間が過ぎるのであった。

そしてこの世界に来て以来、初めて盛大に寝坊した。

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