第9話 解体とかやったことないんだけど……

器用さとはなにか……。

指先が器用、体の使い方が器用、人づきあいが器用, etc.

SEN(器用さ)にステータスを1振った感想としては、「全く効果を感じられない」だった。

まぁSTRにステータスを振ったときも、1だけでは効果を実感しにくかったので今後に期待しよう。

そんなこんなで黒曜石(たぶん)を磨くこと30分以上。

石ナイフの刃先となる部分だけはしっかりと砥いだので、実際に解体に使おうと思ったのだが……。


「解体の仕方が分からねぇ……。」


現代っ子で解体が出来る人は珍しいのだ。

とりあえず首のところにナイフをぶっ刺して穴をあけ、血抜きを試みる。

あとは足にロープを結び付け、逆さまにして木に吊るせば血が抜けるのを待つだけだったようなうろ覚えの記憶はあるが、そもそもロープがなかった。


「紐ってどうやって作るんだっけ?植物の蔓とかで代用するイメージだけど、今から蔓植物を探しに行くのもなぁ……。」


しょうがないので大きめの石を積んで高さを確保し、その上にウサギの首が石からはみ出るように置いておく。


「これで一時間くらい待ってみるか、待ってる間にもう少しナイフを研ぎたいし、石の斧に使える石も探したいし。」


石斧はクラフトゲームの基本なのだ。(個人的意見)

しばらくはナイフを磨き、石斧に使えそうな石を物色して時間を過ごした。

明らかに黒曜石ではないが、硬い石も見つけウッキウキだった。


「そろそろウサギを解体してみるかな。そういえば、解体したお肉はどこに置こう……。」


(お前はいつもそうだ!問題に直面してから解決法を考えて!行き当たりばったりも大概にしろ!)


という心の声は無視して、面の広い石を川まで持って行き、水を付けながら石の表面を石で磨いて綺麗(妥協)にした。

そしていよいよウサギの解体に取り掛かる。

と言っても解体のやり方なんて知らないので、まずは頭を外そうと血抜きのために開けた穴から首を一周するように石のナイフを入れていく。

若干引きちぎるように首を外したのでグロイ。

その後は内臓を傷つけるとマズいという知識はあるので、慎重に首からお腹にナイフを入れる。


(血がいっぱいだぁ~。内臓グロイよぉ~。)


開いたところで一旦穴を掘り、手を洗ってから内臓を穴に捨てる。

もちろん食べていい内臓など分からないからだ。

体のどこかとつながっていようと躊躇なく切り落として捨てた。


「首無しウサギの腹開きだぁ。初めてにしては上手く解体出来たんじゃね?」


解体を始めてから約二時間半。

そこはさながらスプラッタ会場……とまでは言わないが、血の匂いが残る凄惨な現場となっていた。

達成感を味わい、ウサギの頭を見ながらふと思いつく。


「そういえばこのウサギ、スライムみたいな核ってあるのかな?というか内臓丸ごと捨てたけど、その時一緒に捨てちゃってない?」


解体に気を取られ、完全に頭から抜け落ちていたがレベル上げは大事なのだ。

無駄にデカく凶暴なウサギだったのできっとモンスターだった可能性が高い。

ウサギを倒したときに経験値を獲得出来なかったのならば、どこかに核があった可能性が高いのだ。


「嫌だけど、本当にグロくて見るのも触るのも嫌だけど!探してみるかなぁ~。」


内臓を捨てた穴に棒を刺し、一つ一つの臓器を取り出し確認したところ、スライムより少し大きめの石の様な核を見つけることが出来た。


「やっぱりあったか~。どこの部位にあったかは分からないけど、スライムより大きいし。経験値はどれくらい貰えるかな~?」


さっそく砕いてみる。

____________


Lv.3(40%)

・HP(体力):11/12

・MP(魔力):10/10

・STR(筋力):12

・MAG(超感覚):10

・SEN(器用さ):11

・COG(認識力):10

・INT(知力):10

・LUC(運):10

SP.0


スキル

・ステータス割り振り

____________


「40%も増えてる!やっぱ強かったし経験値も多いんだな。」


ウサギに対して何かしらの有効な武器が手に入ったら、ウサギも積極的に狩っていこうと心に決めるのであった。

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