9
こんな夢をみていた
俺は高校生で、ボウリング場に友達と遊びに来た
中へ入るとタキシードを着た紳士が出迎えて、「ようこそマドモアゼル」と挨拶をしてくれたので俺たちはタジタジしながら
「マ、マドモアゼル」
と挨拶を返したが、これは失敗したと思ったので次はうまくやってやると固く誓った
フロアに座るや否や、やたらとジュースやポテトを出してくれるのでここは当たりだ
他のボウリング場だとこうはならない
隣に座ってる友達はポテトを頬張っている
そんなに食べてどうするのかと思っていたら友達が急にポテトを食べる手を止めた
そうして油まみれの手を見て落ち込んでいた
ポテトはおいしいからしょうがないねと励ました、それでも友達の顔は暗い
そろそろボウリングをしようとグローブを人数分借りるために、友達の数を数えた
いち、にい、さん、よん、ごぉ、ろ
俺は急に数えるのをやめた。
最後に数えた6人目の友達を見て思い出した。
この前交通事故で亡くなっていた奴だった
高校生の頃、友達は奴しかいなかった。
それでも楽しかった。奴と一緒に、くだらないことして、くだらないものを食べて、くだらない毎日を送った。
それでよかった。最近は顔を合わせることも少なくなったがたまに会えるだけで、それでよかった
それだけでよかったのに
俺は脇目も振らず涙をボロボロと流した
葬式のときには泣けなかった
奴がもうこの世にいないと分かった悲しみとまた会えた嬉しさが混じり合う
奴は何も言わずニヤニヤしていた
そうして目が覚めた
6時23分
目覚まし時計のアラームより7分早い
今日も仕事で外は雨
気分が下がる
それでも昨日と同じようにあんな会社へいく
死んでしまいたい
けど死んだ時に奴と顔を合わせるのは気まずい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます