6話

帰りの電車の中で俺はうなだれていた。

今日勇気を振り絞って会社へ出勤した。

プレゼンの準備も何もしてなかったので勿論上司に怒られた。

時代が時代だから殴られたり怒鳴られることはなかったけれども言葉の端々から

俺のことをひどく軽蔑しているのを感じる。

それは当たり前のことで入社して4年も経つのに技術的にも知識的にも精神的にも成長していなかったからだ。おまけに人と関わるのが苦手。

そりゃあ軽蔑もされるし周りから馬鹿にもされる。直接何か言われたわけではないが、いやでも周りの雰囲気でそう感じてしまう。

被害妄想であれば良かったが、この前後輩達が俺の悪口で盛り上がっているのを聞いてしまったから現実で間違いない。

一番タチの悪いのは俺自身が俺を期待もせずに軽蔑しきっていたことだった。

怒られたら反省して次に活かそうとか、

馬鹿にされたら見返すためにさらに仕事頑張ろうだとか、

そういう流れに気持ちを持っていこうとしないのである。

ただ都合の悪い現実から逃避するだけである。それで結局逃げれなくて苦しくなる。

苦しがることしかできないと自分にいい聞かせてさらに逃げる。

次に繋がらない。

何も進まない。


ただ海に沈んでいく。

何も抵抗せずに沈んでいく。

光は遠くなる。

数多の人の海のなかで俺だけが目を瞑り暗闇

を感じる。



俺は何もしたくなかった。

そんな奴に明日だの未来だのが見えるはずもなかった。



ああ、だんだん暗くなっていく。


どうしてそうなった


誰が悪い


誰のせいだ


上司か会社か親か兄弟か昔俺をいじめていたやつか環境か


俺のせいだ


俺が悪い


だから誰にも迷惑かけずに一人で沈んでいけ。


それでいいはずだ。


それですべてが丸く収まるだろう


,,,


死ねなかった。


だって今度ラーメンを食べに行こうと誘われたから。




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