第二話

人間が翼を生やすことなんてあるのだろうか、

それは現実ではありえないことでなんだか都合よく神聖さを出していて気に入らない。というか翼を生やしていたんじゃ、スーツも着れないし、満員電車だと迷惑極まりないだろうし、何より目立ってしょうがないだろう。俺だったら絶対にいらない。

何をそんなに特別になりたがるのだろうか、普通でいいのだ普通で。普通に生きて普通に働いて普通に結果出して、普通に彼女ができて、普通に結婚して、普通に子供ができて、普通に年取って死んでいく。それ以上求めるなんて贅沢だ。それができなくて俺はこんなに苦しいというのに。

そんな気に入らない特別な人間が俺の目の前に立っていた。


「そんなローブで何をなさるつもりだったのですか?」

気に入らないやつがにやにやして俺に問いかけた。

「.........く.....黒魔術でもやってみようと思って」

何を言ってるんだ俺は

「黒魔術で自殺しようなんて斬新ですねえ私はそこら辺の知識はないのでよくわかりませんが黒魔術で自殺なんてできるんでしょうか個人的には非常に気になりますけど」

あれなんで俺が自殺しようとしてたのがバレてんだ。窓からずっと見ていたのか

いや、さっき見つけるまで人影はなかったはずだ。

「あれなんで俺が自殺しようとしてたのがバレてんだ。窓からずっと見ていたのか

いや、さっき見つけるまで人影はなかったはずだ。って思いましたねあなた」

コピペをされたように俺の思ったことを言い当てられた。

「620文字にもなってまだ自己紹介してませんでしたね。わたしはこういうものでして」

と急にうやうやしく名刺を渡してきた。

「あ...どうもご丁寧に」

癖で敬語になってしまった。受け取った名刺にはこう書かれていた。


自殺支援団体 営業部1課 大天使

伊藤 ○○


「これ名前書いてないけど」

「ちゃんと書いてますよ」

「○○ってこれテンプレート直してないんじゃないんですか」

「それが名前ですよ」

「えっ」

「まあそんなことはともかく今回私はあなたの前に現れたのはですね、ひとつご提案をさせていただきたくこうしてやってきたわけなのです。」

そういうと○○は保険屋が持ってくるような書類を取り出して置き始めた。

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