第29話 何これ⁉うちの従魔たちが優秀すぎた件

 チヨウシノ村のみんなにはキャベッツと肉の煮込んだスープを提供した。


 食べるものが少なかったということなのでまずは胃に優しいものからだ。




 少し回復薬も入れておいたので体調不良の人もすぐに回復するだろう。




 その後は俺の従魔を紹介した。


 オレンジアントなど見たことない村の人たちはかなり驚いていた。




 ガーゴイルくんを見た門番は、


「ワシが追い払ったのはこいつじゃ!」


 と騒いでいたが誰からも相手にされていなかった。




 スカイバードだけは何やら忙しそうにしていたし、今回は役に立てることがないので箱庭で留守番してもらう。




「シャノン、オレンジアントA、Bを連れて村の人たちの護衛をしながらある物の回収をお願いしたい。オレンジアントA,Bはシャノンの言うことよく聞いてくれよ」




「私ですか? あの……一人でそんな大役大丈夫でしょうか?」




「大丈夫だよ。俺が手合わせして実力を確認してるんだから。この辺りの魔物でシャノンの敵になるのはいないよ。それにA,Bはまだ小さいけどかなり優秀だからな」




 オレンジアントたちはハイタッチをしている。


 意外と感情表現豊かなんだよな。




「ラッキーとガーゴイルくん、それにパトラ以下アントたちは俺と一緒に道作りだ。王都まで直線の道を作ればこの村の流通が改善される。そうすれば、人も来るようになるし、この村の特産品も王都で売れる」




『あいよ』


「パパ―頑張ります!」


「僕で手伝えることがあれば」




「じゃあシャノンとA,B暗くなる前には戻って来てくれ」


「わかりました。ロックさんも気をつけて」




「おっっと忘れるところだった。村の人たちもみんな俺の近くに寄ってください」


「なにかあるんですか?」


「動きやすいように短時間だけですが俺の支援魔法をかけますので」




 力とスピード、それに反射速度と知力もあげておくか。


「風と水の精霊の名の元に我が力を貸さん」




 俺を中心に魔法陣が浮かびあがり全員を青い光が包むこむ。


「これで働きやすくなったと思いますので」




「ロックさんなんですか、この支援魔法。こんなのエルフの秘伝にだってないですよ!」


「シャノンは使えないのか? それなら簡単だから後で教えてやるぞ」


「アハハ……ぜひお願いしたいですが……簡単なんですかね?」




 支援魔法は小さい頃から使っていたのでほとんど魔力消費なく使えることができる。


 シャノンは剣術や体術メインのようだが魔力量はそこそこあるようだし簡単に使えるようになるだろう。




「あとで一緒に特訓だな」


「わかりました。よろしくお願いします」




 村人たちからも驚きの声があがっていた。


 うん。うん。支援魔法なんて普通かけてもらうことないだろうからな。


 物珍しいに違いない。




 シャノンたちと別れて俺たちは道作りをする。


「まずはラッキーここから王都までの道にあった木や草を根こそぎ切ってしまっていいぞ」


『いいのか?』


「大丈夫だ。責任は村長がとる。王都にだけは風魔法が行かないように直前の道に合流させてくれればいいから」


『あいよ。村長、可哀想にな』




 こういう時の役職つきだからな。


 これで来るときにラッキーが破壊したのも隠蔽できる。




 ラッキーが均等に草や木を刈り取ったところでガーゴイルくんに働いてもらおう。


「ガーゴイルくんは得意の掃除をしてもらいたい。草や木を全部道の端に避けてくれ。木で使えそうなものはあとで製材にするから傷つけないように頼む」


「掃除なら任せてください」




 あとはオレンジアントたちだ。


「パトラたちはガーゴイルくんが道をキレイにしたらその上にダンジョンを作った時のように石畳を作って欲しいんだけど、箱庭以外でもできるものなのか?」




「できるよー。ただ魔力が足りない時にはパパからもらうね。パパがダメなら魔石があれば効率悪くなるけどそれでもできるよー」




「それじゃあ俺から魔力は持っていってくれ」




「やったー」


 パトラが俺に正面から抱き着いてくると、他のオレンジアントも俺の身体によじ登ってくる。


 まだまだ子供だからな。甘えたいさかりなのだろう。




 道作りはかなり順調に進んでいった。初日でラッキーは王都までの草や木を刈りつくし、ガーゴイルくんは半分ほどまで掃除を終わらせた。




 ガーゴイルくんは100年も掃除をしていただけあって仕事が丁寧だった。


 いや、丁寧すぎるというべきか。




 倒れた木はすべて魔法で枝を切り、枝は薪用にツタでくくり草はロール状にしていた。何に使うのかと聞いたところ


「食用の魔牛などを連れてくればこれを与えるだけで育てられますから」


 なんて言っていた。




 さすが100年も生きていただけのことはある。


 風魔法も威力は弱いが繊細な動きをすることができ、まるで手足のように動いている。


「ロックさんの支援魔法はすごいですね。魔王城でもこんなにすごい支援魔法使えるのはいないと思いますよ」




 なんてお世辞まで言ってくれた。


 そう言えば、シャノンは年齢がいくつなのだろうか?




 エルフも長寿で容姿がほとんど変わらない。


 確か長生きなエルフだと500年以上は生きるって話だ。




 女性に年齢は……何か機会があればにしておこう。




 オレンジアントたちはさすがに簡単にはいかず、王都までの5分の1程度まで進めていたが固まった石畳を見てみると、かなり頑丈にできている。これなら重い馬車が乗っても大丈夫そうだ。




 俺たちは夕方暗くなるまで作業をしてその日は終わった。


 それにしても従魔たちが優秀すぎる。



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ラッキー「仲間で力をあわせるのっていいな」

ロック「みんな優秀だから助かってるよ」

スカイバード「……」


不遇のスカイバードくん。


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