番外編 アメリカの離婚率

家庭教師のエイミーと仲良くなり、今日初めてお家に招待された。

旦那様と二人暮らしをしているそうだ。中に入ると、玄関近くのテーブルにおしゃれな写真フレームが置いてあった。

スレンダーラインのウエディングドレスがよく似合うエイミーと黒のタキシードを着た大柄の旦那様が写っていた。


まさに理想の夫婦で、とても素敵だった。


エイミーのお隣さんが実家とのことで、移動する。



「My mom lives next to my house. She's very nice and wonderful woman. I love her so much and I hope you'll like her too.」



エイミーの母親に対する愛情が伝わってくる。


ベルを鳴らしてドアを開けると、五人ぐらいの子ども達が部屋で暴れていた。エイミーの母親が私を歓迎して迎え入れてくれる。



「Hello, Kurumi! I'm glad you're here. Come on in!」



玩具が散乱していて、お菓子がこぼれている。忙しくて掃除が間に合ってないのか、カーペットにジュースがしみ込んだままだった。

エイミーが一人一人紹介してくれる。



「He is my nephew, Kenneth. She is my cousin, Taylor. He is my little brother, Colton.」


「......He's your little brother?」



エイミーの弟にしては、ずいぶん小さい男の子。何歳差なんだろうと疑問に思った。そもそもエイミーが何人家族かも知らない。



「Amy, how many brothers and sisters do you have?」


「Oh! I have twelve brothers and sisters! They're all nice.」



十二人兄妹!?え……どういうこと?



驚いた私の顔を見て、エイミーが付け加える。



「My mom has married and divorced three times, but we all have good relationships!」



エイミーの母は、三度結婚して三度離婚していた。そのため兄妹が複雑だった。だが、みんな仲良しとのことだった。

エイミーが何か持ってくる。手渡された写真一枚を見てみると、兄妹十二人の集合写真だった。背の順に並んでいて、全員が笑顔で写っており、とても楽しそうだった。



現地校に登校し、私は親友のハナに親や兄妹について聞いてみる。彼女の親は離婚歴がなく、妹が一人いた。



そうだよね、エイミーの話は珍しいよね……。



ついでに近くにいたもう一人の親友マイカに聞いてみる。(第九話で登場)



「I have two older sister. My oldest sister was born between dad and different mom. I lover her so much!」



え、マイカの両親って再婚だったの!?意外……知らなかった。ってかこの前お泊りして、二人姉妹だと思ってた。もう一人歳の離れた姉がいたんだ……。



「My parents are divorced and I live with my mom.」


「I have different dad, but I love him so much! I could get chance to meet my own dad, so it doesn't matter to me.」



隣で話を聞いていた友人二人が話に入ってくる。


話の流れでクラスの生徒ほとんどに聞いたところ、二十五人中の大体三人に一人の親が離婚や再婚を経験していた。だが、みんなまったく気にしていなかった。


親が新しい人生を送りたいと言ったから承諾した。自分の本当の親に会う機会は用意してくれるし、なんなら新しい親とも仲がいい。兄妹が増えて嬉しい。


ネガティブな発想はなく、みんながプラスに捉えられていて愛情しかなかった。



―――

さすがにエイミーほど兄妹が多い生徒はいませんでしたが、離婚に対するマイナスのイメージはないようでした。新しいパートナーと一緒になるのは、前のパートナーが嫌だからという意味でなく、新しい人生をお互い楽しもうという発想があったようです。子ども達の受け入れる姿勢があたりまえのように感じて、日本とは違う価値観だと実感しました。

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